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親愛なるあなたへ (10) 〜祈りの中で〜

嵐の中、なごみの里から見える川がまるで海の波のように荒れています。その中でも、鴨の家族が寄り添うように群れ、私に家族の温もりを伝えてくれます。

以前お話した際に「祈り」について聞かれていたことを思い出しまして、今日は筆を取っています。私は特定の宗教を持ってはいませんから、私の祈り方が参考になるかはわかりませんが……。

私は毎朝 5 時からお祈りをはじめます。起きる時間は大体 4 時頃ですので、 1 時間ほど経っています。たいてい、その 1 時間の間に私は部屋の掃除をしています。掃き清められた小さな部屋の中でするお祈りは、とても心地よい時間です。

まず、ゆっくりと座禅を組んで座り、目を閉じます。そして身体中の力を抜きます。リラックスリラックス。お祈りをはじめる前にお香を焚いたりするのも効果的です。

そして充分にリラックスできたら、ゆっくりと身体の中に溜まっている息を吐き出します。そしてゆっくりと息を吸い込みます。何も考えずに、ゆっくり、ゆっくり、深呼吸をします。息を吐き出す時は、お腹の中が空になるほどに。息を吸う時は頭のてっぺんからお腹の底、呼吸法では丹田と呼ばれている場所(おへその位置から指 3、4 本分下の位置です)に空気を入れます。

ゆっくり、ゆっくり、こうして息と心を合わせている内に、心の中に静けさが訪れます。この静けさの中、ひとつの雨粒が水溜りにゆっくりと円形の波紋を作るように、私の心の中に幸せが広がっていきます。この幸せを誰かに手渡したい、そう思う私がそこにいます。

充分に心の中が平穏と幸せに満たされたところで、いつも私は手を合わせます。いつしか全ての人々の幸せを自然と祈っています。吐く息はどんどん深く、どんどん長くなっていきます。そうしている内に、自分と自分を取り囲んでいるはずの空気との境目がぼやけてきます。普段イラストのようにくっきりしていた境目が、やがて水墨画のように薄まっていくのがわかります。その感覚を心地良く受け入れていると、自然と私と周りの空気が一体になっていきます。

この時の感覚を文章にして伝えるのは難しいのですが、そこでは全てのものが一体になっているように感じられます。私も、あなたも、あの人も、あるいは世界も、あまり区別がつかなくなっていきます。そんな、全ての境界が取り払われた状態で、私はいつも「私の平和は周りの人の平和がない限り訪れない」としっかりと確認します。あなたが不幸であるなら、私も不幸です。あなたが幸せであるなら、私もまた幸せです。

そしてその状態で更に祈っていると、自分の体重が軽くなっていくように感じます。ぼやけていた身体の感覚は、更にふわふわと自分が浮かんでいるかのようになっていきます。

私の場合、お祈りは 30 分から 1 時間で終わります。上のような状態になって少し経ってから、すっきりとした身体と心で「ありがとうございます」と言い、頭を下げます。目を開けると、大体いつも同じ時間になっています。そして、私の 1 日がはじまります。

あなたがお祈りのことを聞いてきたことを、私は嬉しく思っています。祈りは宗教者だけのものではありません。今、都会で心の休まる暇もないあなたにとっても、祈りは力強い味方になると思います。お風呂に入って身体を洗うように、是非、お祈りをして心を清めてみて下さい。心を落ち着け、新しい 1 日に向かう。その時のあなたは、いつもとは違った新しいあなたになっていることでしょう。

私はあなたの幸せをひたすらに祈ります。今日も、明日も、きっと良い日になりますように。

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