1. Home
  2. 書籍・文書
  3. 親愛なるあなたへ (6)

親愛なるあなたへ(6) 〜心の器に幸せを満たして〜

今日も島は美しい雨の中です。雨の一粒が海に落ち、穏やかな海面にその波紋がゆっくりと広がります。雨に打たれた紫陽花の花が、私の心を優しくしてくれます。

私はこの 6 月、 2 度の結婚披露宴に出席しました。

ひとつはなごみの里の職員のものでした。新郎新婦の職場、親戚の方々、そして友達。ふかふかの絨毯。ホテルの会場で行われた立派な披露宴です。 3 度のお色直し、私の背たけよりはるかに高いウェディングケーキ。それはそれは華やかで、ドキドキしながら新郎新婦を見つめていました。若い 2 人は、その心の器を幸せで満たし、参加した私達の心に幸せを注いでくれました。

もうひとつは娘のものです。会費制で小さなレストランで行いました。娘は未だ学生。自分達の力でと望み、彼女が選んだ形です。

娘はウェディングドレスを持ち込み、友人に会場の準備を手伝って貰いながら、精一杯の笑顔で皆を待っていました。旦那様の「僕達は幸せです」の言葉に、会場の誰もが幸せを手にします。娘達もまた 2 人の心の器を幸せで満たし、私達に幸せを手渡してくれました。

披露宴。それは心を幸せで満たした 2 人が、お世話になった周りの方々に幸せを手渡す時。幸せを分かち合うことはとても素晴らしいこと。毎日、自分自身の心の器を幸せで満たし、出会う全ての人々に手渡していけるような人になりたい。私はあらためてそう思いました。

そんな幸せが満ちていた披露宴。けれど、そこで 2 人の幸せを祝福している人達でも、色々な悩みと無縁なわけではありませんでした。披露宴の時に隣にいた若い女性。彼女と話した中で出てきた言葉がとても印象的で、旅を終えて知夫に帰ってきた後も、ずっと私の心の中に残っています。

「自立を目指して、仕事に生きようと決めていたけど」。今、その考えが正しいのかどうか迷っている。彼女は私にそう告げました。

あなたは、女性の自立と男性の自立、どちらも同じことだと思いますか? 私はそうは思いません。女性の自立は男性の自立とは違い、男性の自立を真似していても女性が自立することはできないと思っています。

最近、私の知人が男の子を出産しました。出産前の彼女と出産後の彼女、同じ彼女なのですが、その様子はまるで心が脱皮したかのようにも思えるほどです。今の彼女は以前にまして前向きで笑顔が輝かしく、声にもハリがあり、そしてその足できちんと大地を踏みしめています。

彼女を見ていたこと、そして自分の経験から、私はこう考えています。

女性の自立とは、母親になることなのではないでしょうか? 母になり、子を産む。子供達は出産前から、その命の重さをお腹の中から伝えてきてくれます。そして出産を覚悟し、その大事業から逃げないこと、また出産後に子供を育てることで、心がまた深くなり、自分も成長することができるのです。母として子を愛する(自分の時間を子に捧げる)ことで、深い慈愛の心を学ぶのです。こうして幸せを掛け算にできるのは、女性だけです。

彼女が私の言葉に納得してくれたかどうかは、よくわかりません。それでも彼女は私に「ありがとうございました」と言ってくれました。都会では、彼女のような人が沢山いるかと思います。懸命に生き悩んでいる彼女達、そしてあなたの心に私の言葉が届けば……そう思って書きました。例え今日、その意味がわからなくても、いつか、道は決してひとつではないことを思い出して下されば、それで私は満足です。

今、都会で彼女と同じ悩みを抱きながら必死に働いている全ての女性に、そしてあなたに、私はエールを送りたいと思います。

結婚と出産と育児は、決してあなたが自立できなくなることではありません。あなたは自立した人間になるために、誇りを持ってその道を選択して大丈夫です。そしてその道を選択することが、自分の心の器を幸せで満たし、他者に幸せを手渡せる人間になること。私は、そう信じています。

今日より明日、 1 人でも多くの人の心が幸せで満たされますように。私の幸せが、あなたの幸せになりますように。

活動についてのお知らせ

  • 柴田久美子 講演予定
  • 募集中の研修内容一覧
  • なごみの里 紹介動画

書籍紹介

いのちの革命

『いのちの革命』書影

看取り士日記

『看取り士日記』書影

看取り士

『看取り士』書影

「ありがとう」の贈り物

『「ありがとう」の贈り物』書影