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介護日記 (125) 〜産まれ落ちたその時の幸せを手にして〜

ネムの花の美しい海沿いの道を、秋さん (100) を思いながらお線香をあげに自宅を訪れる。仏壇の若い頃の秋さんのお顔が私を迎える。医療を拒み、手作りの幸せな旅立ちを選んだ秋さんだった。息子さん (74) と私達は秋さんのその時まで十分に真心を尽くすことができ、秋さんの最期は看取る側の私達にとっても満足感と幸せに満ちたものだった。

「すいませんね、男所帯でこんなもんしか出せんで」と慣れた手つきで冷茶を出してくださる。「柴田さん、わしはこの年で初めて人の死に立ち会いました。母は、父が亡くなる時、仕事で忙しいわしに知らせんかったです。亡くなってから連絡されて、わしは死に目に会えんかったですよ。最後の親孝行がしたかったんですが……。わしはその日から、母を憎んでました。しかし、こうして母の最期をりっぱに看取ることができて、わしの中から母への憎しみが全部消えました。今では、父にも母にも本当に感謝できるようになりました。満足です。柴田さん達と一緒に看取りが出来て良かったです」仏壇の中の秋さんの顔が心なしかほほえんだ。

私が実の母の看取りを通して学んだように、息子さんもまた、父母との関係が生れ落ちた時に戻ったのだという。そして、父母が自分の心に誕生したと……。看取りとは誕生と同じ所にあるのだと教えて下さった、幸齢者様に感謝、合掌。

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看取りの手びき 介護のこころ

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