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介護日記 (126) 〜手のぬくもりを感じて〜

島の夏は短い。盆が終わり、帰省客を乗せたフェリーが島を離れるともう秋風が立つ。なごみの里の幸齢者様の笑顔も心なしか、深まる。

今日は幼稚園での講演の日。子供達の歓声が響く園庭。小さな椅子に机。何を見てもめずらしい光景だった。小さなホールで“老いについて死について”を話す。その間中、子供達の目は輝いていた。

「おじいちゃん、おばあちゃんは幸せを下さる天使だから大事にしようね」と言うと「はーい」と手を挙げた健くんがこう質問した。

「大事にするってどうするの?」

私は健くんの傍に行き、そっと手を握る。そして抱きしめた。健くんはその手に「わー暖かい」と答え、そして「気持ちいいー」と顔を崩した。

講演を終えると翼くんが待っていたかのように手を挙げた。

「昨日、人が死ぬテレビを見た。怖かった。ママ。どうして死ぬって分かってるのに僕を産んだの? やっぱり死ぬのは怖いの? 僕、何の為に産まれてきたの? ママに聞いたけど、柴田さんに聞こうねってママが言うから」

「それはね。簡単な事なの。死ぬ時、先に死んだ人が迎えにくるの。その人たちと一緒に死の世界に行くからちっとも怖くないよ。逝ったり戻ったりしながら、眠るように死ぬのよ。でもね。自殺はいけないよ。お迎えこないもの。きっと苦しいと思うよ。さてつぎの質問は何の為に産まれてきたかよね。翼くん、今幸せ?」

「うん。幸せだよ。お母さん。おとうさん。優しいもん」

「そうなの。人はね、幸せになるために産まれてきたの。大人になったら、お母さんお父さんのように、幸せを分けてあげれる大人になろうね」

「はーい」「はーい」「はーい」と子供達は口々に答えた。

幸齢者様は今日も私に、幸せに生きることと幸せに逝く事を教えてくださる。存在する事で幸せを授けてくださる幸齢者様に感謝、合掌。

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