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介護日記 (140) 〜愛するとは〜

島は野菊が可憐な白い花を付け、山道を通る私に優しく微笑む。

なごみの里は、 8 月松江に新たに里を開所した。 1 人目の入所者様は認知症で寝たきりの 76 歳の男性。

3 年もの間、高齢の奥様だけでの介護の日々。腰が悪くとも、病院に行くこともままならない現実。そんな中でご縁を頂く。

3 年間起き上がったことのないご主人を抱き上げることは出来ず、寝台車にて移送。お部屋に着くと奥様は言う。

「とうちゃん。私も一緒だよ。今夜も此処に泊まるからね。父ちゃんの世話は私もずーとするからね。安心してや」

「良いですね。ここは別荘だと思って使って下さいね」と言う私に、奥様は笑顔で答える。

「良かったね。父ちゃん。今日は新婚さんだね」

 私達は、ほぼ毎日のように、泊まりに来て下さる奥様の言葉に胸が熱くなる。

「ずーと一緒だったからね。 1 人で寝るのは寂しくて」

夜半過ぎ、障子越しに、ご主人のマッサージをしながら、楽しそうに笑う奥様の声がもれる。 50 年以上もの長き時間を共にし、沢山の苦楽を超えてきた歳月。

そして今、奥様の事すら思い出せない、寝たきりのご主人様を愛して止まない奥様の心の深さに真の愛を思う。 3 年もの長きに渡り、たった 1 人きりで介抱をなさった事の重み。旦那様を支えながら健気に生きてきた奥様にどんなに尽しても尽しても足りないと思える私だった。

愛するとは自分の限られた時間を、大切な人の為に捧げること。こんな尊い教えを下さる幸齢者様に感謝、合掌。

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