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介護日記 (151) 〜ご先祖様の真心とともに〜

島は紫色のトウテイランの花が雨に打たれながらも、そのやさしさに目をとめる。

なごみの里の中は激しい風雨の中にも、静かな時間が流れる。

「盆はきなこだんご食べたもんだ。うまかったがな。今日は彼岸かね」。里さん (97) が言う。

「そうですね。今日作りますね。雨でお客様も来んしね」。里では“直ぐ夢を叶える”この言葉が当たり前の事。

早速、小麦粉をこねて、ゆっくりとねかせる。子供達(スタッフの事を私はこう呼ぶ)は私のこのゆったりした姿が大好きと言う。穏やかな時間が豊かさに変わり、皆の心に広がる。嵐の中にも里の中には、楽しい時間がゆっくりと流れてゆく。子供達と手で形を作り、熱いお鍋でゆでる。島に古くからあるきなこだんごとは、少しばかり形は違うが美味しく出来た。

里さんに出来たてのきなこだんごをお出しする。

「盆はご先祖様が戻られる。ご先祖様あってのわしだ。あり難いね」。おだんごを前に、しばらく食べようとはされない。里さんは目を閉じて手を合わせ、頭を垂れる。

「まーず。ご先祖様にな」。そう言いながら、微笑んだ皺だらけの顔が光って見えた。

里さんの穏やかな心に包まれて暮らせる幸せ。この島では毎朝、墓を拝みに高台にある墓場まで行く幸齢者様が少なくない。里に来るまで、里さんも毎日墓参りを欠かさず、仏壇に手を合わせていた。

里にいる今も、里さんの心の中にご先祖様は生きて、里さんを支えている。

今、私達は里さんの、その心に寄り添いながら、そのやさしさに抱かれている。

心はいつもご先祖様の真心と共にある事を教えた幸齢者様に感謝 合掌

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