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介護日記 (157) 〜祈る心を手渡して〜

凛とした風の中、迎えの車を待つ。日曜日の都会の駅前、私の住む島の人口 770 人の全員にほんの数分で会うかのような人々の賑わい。

今日は保育園での講演会。休日なので、ほんの数人の園児が元気な声で遊んでいる。いつもながらこの元気さに励まされる。いつものように、死の尊さを語る。「抱きしめて最期の呼吸を受け取り、その方の良い心と魂を受け取りましょう」と話す。会場を出ると、泣きながら 1 人の先生が問う。

「抱くって、どうするのですか?」

「ベッドで眠る人の肩に腕を回し、手をつなぐことです。ゆっくり目を合わせて下さいね」。そう言うと「ありがとうございます」と走り去った。

その後に面談。彼女は今、母が余命がなく、自宅で死を待つ日々と言う。どう接して良いかわからないと涙ながらに訴える。

「祈りの言葉をみんなでこの方の健康を信じて唱えましょう」と提案すると、その言葉を受けて、この園の園長さんは「園児の皆の力も借りましょう」と言う。

子供達の可愛い声が、先生のお母様の全快を祈ってこだまする。

祈り。他の人のために祈る。何とも素晴らしい光景が、この小さな保育園で毎日行われる。

1 ヵ月後、彼女はこんなメールを私にくれる。

「たくさんの人に助けてもらい、支えてもらいました。母とは以前と違い良い関係になれたと感じています。祈りのおかげです。ありがとうございます。

今、母が求めていることは何だろうと考えてみました。良いドクターでも、薬でもない。神様が決めたその日まで穏やかに暮らせるようにサポートしてくれる人が欲しいのではないか。母が時々愚痴をこぼします。「自分の事を考えてくれているんだから、がんばらなきゃ」そんな時は「お母さんがやりたいように、したらいいよ」と言いながら、体をさすります。

今年も母と桜を見にいきます」

旅立ちの前に多くの人々の善意と、祈りの力の大きさを教えて下さった幸齢者様に感謝 合掌

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