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介護日記 (163) 〜家族の縁とは〜

山道に野菊の花が可憐に咲き、私の心を軽くする。

この花を見るといつも思い出す、 6 月、他界されたなごみの里の伸子さん (93) の言葉がある。 6 年前、伸子さんは一人息子の強さん (61) を突然の病気で失う。そして私もまた、実の母を送ったばかりだった。

「柴田さんや。あんたは親のない子、わしは子のない母だ。本当の親子になれたら良いね」

当時、島の中で孤立していた私にとって、これほど力強い励ましの言葉はなかった。また実母が私の手を握り締めて言った最後の言葉が「島の幸齢者様を、この私と思って尽くしなさい」だったのだが、この言葉も心にしっかり刻まれている。

野菊の花が連れてきてくれる数々の励ましの言葉は、私をなごみの里設立当時に戻してくれる。

私は幸齢者様のおそばに座し、手を握る。

私はクリスチャンではないが、マザーテレサの言葉に導かれ、今も生きている。

死んでいく人間は誰かにそばに居て欲しいのです。

人間が最期に息を引き取っていく時に、そばで見てくれる人が誰もいないことほど悲惨なことはないのです。

たとえ、病気を治してやることもできず、十分な看病もできなくとも、そばでその人の死を見届けてあげなければならないのです。

3 年半前になごみの里に入所。

伸子さんの手を握り、抱きしめて看取ることが出来た幸せ。

本当の親子になれた瞬間が看取りの場面だったことに手を合わせている。家族の縁とは最期のその時にまで責任を持ち、幸せを分かち合うことと教えた幸齢者様に感謝、合掌。

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