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介護日記 (172) 〜許しのもとに〜

トンビが高く空を飛び、漁師さんの投げる魚を上手にくわえる姿に感動すら覚える。

講演を聴いて下さった御方からの申し出で、終末のお母様を見舞って2日目。旅立ちの報を受ける。

祭壇に飾られたお母様の遺影は感謝が溢れ、笑顔だった。

「母は亡くなる2日前、柴田さんと話し、死の恐怖がなくなったと言い、とても穏やかでした。その日まで、心の行き場がなくて死の恐怖に心がおびえていたのです。でも、長年許せなかった人がお迎えに来てくれたと知り、母も私も救われました。本当にありがとうございます」

お母様のベッドの上にあがり、お母様をその両手に抱いて看取られたと言う。そしてお母様の片手をご主人が、もう一方の手を妹さんが、しっかりと握られる中での最後の呼吸。穏やかで安らかな旅立ち。家族みんなが身体をさすりながら、「お母さん。ありがとう」と涙する中で、お母様は人生を完成された。自らの葬儀の準備をし、娘のこれからの生活を思い、見事なまでにそのシナリオを作り旅立たれたお母様。2日前、娘さんが私にご相談されたのだが、晩年まで暮らし、お世話になった方々の元に挨拶し、旅立つ事を選んだのは、お母様ご自身だった。

静かに笑顔すら浮かべて、お母様の美しい人生の完成を興奮気味に話される娘さんの顔が、眩しいほどに輝いてみえる。お話を聞きながら、私までも高い山を登りつめた時のような清らかさを感じる。死を前に、人はその身体から良い心と魂を自由に離し、自らの人生を完成させると、その身をもって教えた幸齢者様に感謝、合掌。

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