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介護日記 (174) 〜言葉を越えた先に〜

島に子供達の声が踊り、都会からの旅人が行きかう夏。

ぼんやりと海を見つめる里さん(97)。傍らに座り、手を握る。

「あ、、、、・・・・。そ、、、・・・・」

「そうですね」

「だ、、、、・・・・。あ、、、、・・・」

「はい。」

「ま、、、・・・・・。、、、・・・・」

大きく頷く私。手を握ったまま、10分、そして20分と時が流れていく。今日の里さんは言葉が話せない様子。里さんの言葉の意味は私にも分からない。だが里さんと私は、その手の温もりと同じように、温かい風に包まれる。言葉を超えた心の交流。

私の尊敬するマザーテレサはこう言われた。

「もしも私たちの仕事が、ただ単に病人の身体をきよめ、彼らに食事を食べさせ、薬を与えるだけのものだったとしたら、センターはとっくの昔に閉鎖されていたことでしょう。私たちのセンターで一番大切なことは、一人ひとりの魂と接する機会が与えられているということなのです」

里さんと出会って12年。それは里さんと私の愛と言う時間が育てて下さった贈り物。こうした時間が私の心を幸せで満たす。里さんは最後に「涙が出るね」と手を合わせられる。“人は赤ん坊に帰る”と言う。おむつを当て、言葉が無くとも、その心は産れでた赤ん坊のように純粋で美しい。積み重ねた愛と言う時間がつれてくる幸せを教える幸齢者様に感謝、合掌。

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