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介護日記 (175) 〜心の輝きを見つめて〜

短い夏が終わり、潮風に心地良い秋が感じられる。

元さん (94) が歩くことも立つこともできなくなって 3 年。今年も船乗りの一人息子さんが、一年に一度この島に帰られる。フォトジャーナリストの國森康弘氏の撮った写真が載った雑誌を毎日広げてみては、息子さんに見せようと大切に机の上に置かれている。その写真はベッドの上でタバコをふかす元さんの表情が何とも男らしく、ほれぼれするほどだ。

「いい男だよね」と指差すと、決まって大満足に笑顔を向けられる。息子さんが居室を覗く。真っ先にその雑誌を手に取り、示される。

「オー、すごいな」と息子さん。同席の親戚の方々にも順にまわされ、元さんの得意そうな笑顔が深まる。ひとしきりその写真の話がすむと、もうベッドに横になられる。

「じいさん、寝たかい」。息子さんの声かけにも返事がない。先ほどまで会話なさっていた親族の方々の会話も聞こえない様子で、目を閉じたままだった。

耳が聞こえづらい元さんにとって、他の誰に気を使うこともなく、何より自分らしい日常が大切のようだ。心臓が悪いのだが、ドクターストップのかかるタバコも焼酎も「死んでも飲む」と続けられている。

元さんのおそばにつかえながら、自分自身で心の輝きを見つけることこそが、毅然と自分らしく生きる道と教えられる。

凛と生きるとは、小さな出来事の中に心の輝きを見つけることと教えた幸齢者様に感謝、合掌。

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