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介護日記 (179) 〜幸せを心に〜

出雲にも雪が降る。宍道湖の湖面に水鳥が遊ぶ。私たちを乗せた車が美しい湖沿いに走る。友人 (67) の声がとても楽しげに聞こえる。

「私はこの湖を見たのは 10 年振り。その間テレビで見るだけだった。嬉しい!」

地元に住む彼女だが 19 歳の頃から、不慮の事故により車イスでの生活、施設での生活を強いられる。介護度 3 の判定を受けながら、今は市営住宅での一人暮らし。介助者が居なければ外出はできない。

そんな友人を誘って食事に出かける。彼女が名付け親というビルの前に立ち止まると、感慨深く話す。「このビルに名前をつけて 10 数年。子供を見るように嬉しい」と。

彼女が載った車イスを玄関前まで押すが、二人がかりでも持ち上がらない。「ごめんねえ、体重があるから」と笑う彼女に、私達もつられて笑う。店員に聞くと、スロープが反対側にあるとのこと。スロープをのぼり、昼食をとる。正月の特別メニューは、いつもヘルパーさんの料理を食べている彼女には、ことさら美しく見えたようだ。何度も何度も「嬉しい、おいしい」を連発。ドリンクバー紅茶のティーバックをそっとポケットに入れて「ヘルパーさんに飲んでもらうの」と童女のように微笑んだ。

その数日後、彼女は私にメッセージカードを送ってくれた。

感謝の言葉と美しい絵が描かれていた。楽しい思い出を胸に、この絵葉書を綴った彼女の真心が、私の心に温かい風を吹き込んだ。重度障害を持ちながら、凛と生きる友の姿に人としての尊さを学ばせて頂く。幸せを心に深く入れて生きることの大切さを教えて下さった友人に感謝 合掌

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