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介護日記 (182) 〜みんなは一人のために〜

桜の花が春の嵐に舞う。江津なごみの里に利用者様が無いままに4ヶ月が過ぎようとしている。そんな中に嬉しい電話が舞い込む。

「母が病院から家に帰りたがっています。お願いします」

江津には入所出来る場所は無い。まずお目にかかりましょうと病院に幸齢者様を見舞う。94歳のさと子さんは、ベッドの上から素敵な笑顔を向けられる。初対面の私の手を取ると「家に帰りたい。淋しい。ここに寝て」とベッドに誘われる。この3つの言葉だけを何度も何度も、私の手が痛い程に握り締めたまま、繰り返される。

「えーえー。帰りましょう。帰りましょう」

この方の願いを叶える事が私の天命。何の準備もできてはいないが、最期の1%の幸せを手渡したいと言う熱い想いに駆られていた。

そしてその日から、この地区のエンゼルチーム協力員の方々への呼びかけに走る。そして退院のその日までに、12人もの協力員の方々が集まる。協力員の方々のボランティア内容は「傍にいて手を握る」事、「見守る」事。見知らぬ幸齢者様の為に、時間を捧げて下さる方々がこんなのも直ぐに集まろうとは、私自身考えも及ばなかった。

そして、無事に退院。仕事を持つ息子さんとの2人暮し。介護はヘルパーが、日中の見守りは協力員の方々が担う。母を家にと望まれた息子さんがお仕事を続けながら、寝たきりの幸齢者様と暮らす。夢のようだと言う。介護に心を砕くことなく、元気な頃と同じように母との暮らしの実現。

協力員さんは言う。

「今まで沢山のボランティアをしました。でも、この協力員ほどに幸せと満足を頂いた事はありません。1対1。幸齢者様に私自身の存在を認められ、ありがたくて」

1人の人間の持つ尊い力、愛そのものを教えた幸齢者様に感謝 合掌

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