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介護日記(184) 〜家の力を感じて〜

4月、江津市に訪問介護事業所を開所。江津、大田、そして3年前に開所した出雲なごみの里。私は現在この3箇所と講演先を行ったり来たりの生活を送っている。

13年前、隠岐に移り住んだ時、「この島で最期まで」と私自身が望み、またそう望まれる方々と暮らす家を立ち上げた。当時の私には、今の暮らしは想像すらできなかった。島の穏やかな時間が私は好きで、講演で出かけると時間の速さについていけず、どっと疲れを背負って島に戻った。海辺に立つなごみの里の玄関を開け、スタッフの笑顔を見て、やっと都会で背負った重い荷物を降ろす私だった。

そんなことを思いながら、江津から大田の利用者様の訪問へ出かける。車窓は私の大好きな美しい日本海。ハンドルを握りながら、小さな頃、この海で遊んだことを思い出した。

訪問介護でお世話をさせて頂いている里子さんのご自宅に入ると、エンゼルチーム(見守りだけをして下さっているボランティアさん)の方が声を弾ませて話して下さる。

「里子さん、本当に良くなられました。淋しいと呼ばれることもなく、穏やかに過ごされて、私にありがとうと労わって下さるのです。やっぱり家が良いんですね。家には不思議な力があるんですね」

里子さんが嫁がれてから70年以上も暮らし続けた家。毎日、掃き清め、拭き清められた家。里子さんの喜びも悲しみも共にした長き歳月。柱、天井、壁の隅々にまで、里子さんの暮らし全てが染み渡った家。そんな家の力が、ベッドでお暮しになる里子さんを応援し、回復に向かわせた――そんな風に思わずにはいられないほどに、里子さんはお元気だった。今、里子さんは病院でお会いした時とは別人のようで、字を書き絵を描いて生活を楽しまれている。

家の力があるとしたら、家に帰りたいと望まれる全ての寝たきりの幸齢者様がその力を手にできるように。そう祈れずにはいられない私だった。“家の力”、この不思議で偉大な力を教えて下さった幸齢者様に感謝 合掌

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いのちの革命

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看取り士日記

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看取り士

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