1. Home
  2. 書籍・文書
  3. 介護日記 (185)

介護日記 (185) 〜謙虚にと導かれ〜

朝、浜昼顔がやさしく咲いて、神戸川下流に位置する出雲なごみの里を華やかに彩る。出雲なごみの里に今日も流れる穏やかな時間。幸齢者様は4人。スタッフは8人。手厚い介護が自慢の里で、楽しい会話が交わされる。

元さん(94歳)に、孫のような若いスタッフの八木(25歳)が声をかける。

「温かいタオルで身体ふきましょうか?」

「いいわ。いいわ」と今日は断られる。

「でも今日は天気も良いし、気持ち良くなりますよ」と再びお勧めするが、元さんは目をつむり、もう無言。しばらく沈黙の時が流れる。

どうやら諦めたスタッフが声をかける。

「もうすぐお昼ご飯になります」

「そうか。ありがとう」とベッド柵を握って、元気良く起き、「もうお昼ご飯にしよう」と言われる。スタッフは温かいタオルを置いて、お食事の準備をする。

尊厳を守ること、それは幸齢者様のお決めになることを大切に思い、添わせて頂くことと、私たちは思っている。幸齢者様がお決めになられたことをさせて頂く、何時間でもじっと待つ、それが大切なことだと思う。

先日の講演会で、介護職の方からこんな質問を受けた。

「私のホームに入所されているお年寄りさんが言うことを聞いてくれないんです。どうすれば良いのでしょうか?」

私はこう答えた。

「介護職の私達が、幸齢者様のおっしゃることを聞くのです。そうお思いになるまで、時間をかけて下さい」

介護する人、される人。そう捉えれば、ややもすると傲慢になりがちな私達。しかし、幸齢者様の生きてこられた長き日々の積み重ねを思う時、幸齢者様からの無形の贈り物を受け取れるのは、謙虚にお傍に仕えることのできる人だけなのだと思う。謙虚に生きよと教えて下さる幸齢者様に感謝 合掌

活動についてのお知らせ

  • 柴田久美子 講演予定
  • 募集中の研修内容一覧
  • なごみの里 紹介動画

書籍紹介

いのちの革命

『いのちの革命』書影

看取り士日記

『看取り士日記』書影

看取り士

『看取り士』書影

「ありがとう」の贈り物

『「ありがとう」の贈り物』書影