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介護日記 (186) 〜ぬくもりを寄せて〜

江川に朝霧が立ちのぼり、その美しさに思わず足を止める。

今日は高砂病院にALS(筋萎縮性側索硬化症)で入院中の佐藤さんの外出日。この日のために娘さん、相談員さん、看護部長さんと何度もお話し合いを持つ。江津市になごみの里を立ち上げた時、娘さんは入院中の母のためにと、私達にお母様の話し相手とお散歩を有償ボランティアとして依頼された。

病院を訪れるのは週3回。ある日、佐藤さんは「なごみの里に行ってみたい。泊まりが無理なら、行くだけでも」と話される。私は特定の宗教を持たないが、私達の活動はマザーテレサの次の言葉に支えられている。

「人生の例え99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せならば、その人の人生は幸せなものに変わる」

佐藤さんの最期の1%の幸せ。生ある今、望まれることをすぐにする。それが私達の活動。私はたくさんの死の場面と向き合いながら、今できることは今と思うように導かれた。

福祉車両は車椅子が大きく揺れるため、頚椎を痛めていらっしゃる佐藤さんには負担が大きいと判断し、娘さんの乗用車に皆で抱えてお乗せする。正月以来、はじめての外出。里で介護用のベッドに休まれた佐藤さんは、窓に広がる田んぼの緑、空の青さに驚かれる。そして、車が通ることにすら。

私達が当たり前のように目にしている光景が、佐藤さんにとっては感動であるということ。あらためて自らの健康に感謝する私達だった。

短い時間だったが、親子で過ごされた宝石のような時間。おそばに寄り添わせて頂きながら、佐藤さんの幸せな表情に私達の心も和む。

そして病院に帰られると、真っ先に看護師さんに「またなごみの里に行くよ」と声をかけられた佐藤さん。誰かに必要とされることは最高の幸せ、と教えた幸齢者様に感謝 合掌

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