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介護日記 (188) 〜愛の中に生きて〜

タンポポの綿毛が風に揺れ、一つまた一つと飛んでいく。こんな光景をぼんやりと見つめるのが、私の大好きな時間。おじいさんに連れられた子供の姿、学校帰りの高校生。何気ない光景だが、こんな光景すら寝たきりの幸齢者様は目にすることは難しい。

出雲なごみの里に暮らす私の叔父は94歳。軽い認知症がある。

「くんちゃん。アルバムがあるだろう」

「何で?」

気のない返事をした私だったが、叔父の言う写真とは何と私の結婚式の写真のことだった。37年前の写真の中には、亡き父の代わりに座っている若き日の叔父の姿。もうすっかり私は忘れてしまっていたが、叔父にとっては忘れられない時だった。人は一人で大きくなるのではないことを、また私は教えられた。女の子のいない叔父は、私のことをまるで実の娘のように慈しんでくれた。

当時、叔父は隣の家に住んでいたので、私はお風呂に入りによく行っていた。お風呂を我が家と叔父の家とで交代で沸かし、入浴の後に一緒にお茶を飲むのが常だった。いつも穏やかに人の話を聞いていた叔父の姿を思い出す。

叔父の中で、今も当時も変わらないもの。それは愛だと、私はアルバムを見る叔父を見ながら感じた。生きる事の孤独。それは皆が心の奥に持つものだが、今この瞬間に愛を感じることで少しでもその悲しみを和らげ、笑顔で暮らせたらと思う。

叔父のアルバムは親族の結婚式の写真ばかり。次々と華やかな皆の笑顔が取り出され、幸せな時間に包まれる。忙しいと言いながら、どこかに追いやっていた大切なご縁の広がりに、今更ながら、叔父と二人で感動した私だった。

自らの心を愛で満たし、私達を幸せに導いて下さる幸齢者様に感謝 合掌

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