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介護日記 (198) 〜死の文化を手渡して〜

7月16日、17日と日本ホスピス・在宅ケア研究会が沖縄で行われた。1万人の来場予定。沖縄コンベンションセンターでの初日、午後のシンポジストとして招かれた。

当日は「1万人」を体験したいと思い、講師入り口でなく、一般来場者口の長い列に並ぶ。関東から来られていたグループの列に並ぶと、看護師の女性達が話を弾ませていた。7月の沖縄の太陽はじりじりと暑く、待ち時間の長さを肌で感じた。長い列に並びながら、私はこうして遠くまで勉強に来る人々の多さにも感動していた。16日に行われた開会式は琉球舞踊「かぎやで風」で幕を開けた。その後に“死とは何か?生きるとは?”をテーマに展開された浜崎盛康先生、大下大圓先生、カールベッカー先生のシンポジウムに、会場は熱気に包まれる。京都大学、カールベッカー先生の研究では、男性介護者が幸齢者を虐待してしまう原因を、子育てと違い、期間が見えず、やりがいがないからと指摘していた。

もし、死を敗北と考えるとしたら、介護の先にある死によってもたらされるものは虚無感だけかもしれないと興味深く拝聴した。

私達の活動は、死によってもたらされる命のバトンを受け渡す社会創り。長年、苦楽を感じながら生き、その間に蓄えるエネルギーを受け渡された時、人はまた自らの命の重みに気付く。介護の先にある命のバトンの受け渡し。これこそが介護のやりがいではないか。そのことを伝えきれない自らの未熟さを憂いながらも、それでも1日目の午後には、シンポジストとして聴衆の前で精一杯話させていただいた。

私自身の看取りの原点、母の看取りの場面を話す。幼いころに私が生と死の境にある時、母は私を抱きしめて寒い夜を過ごした。寝ずに祈る母の姿を私は天井の高い上から眺め、母に声をかける。「母さん。大丈夫。苦しくないよ」だがその声は母に届かない。

「柴田さん、それは幽体離脱ですよ」。講演会でご一緒したカールベッカー先生は教えてくれた。そして「その体験をぜひ多くの人々に伝えて下さい」と言葉を続けられた。この大切な死の文化を手渡してくれた上に、こんなにも大きな大会へと導いた母に感謝 合掌

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