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介護日記 (202) 〜エンゼルさんの愛の中で〜

ターミナルで水も入らなくなった97歳の幸齢者様である良子さんを訪門。障がいを持つ息子さんが良子さんのお部屋の縁側に座り、私を待つ。この状態になるまで、親子の仲は上手くいっていなかったと言う。それがターミナルになられ、関係性が良くなったと。

今は、息子さんはほとんどの時間を母の傍の椅子に座って過ごされる。赤ん坊の時、母に自分が見守られていたように。全てを手放された良子さんはもう神仏と同じ、初対面の私に体を預け、笑顔を向けられる。手を握り、頬をよせる。呼吸をゆっくりと合わせる。水のたまった良子さんの足をさする。良子さんと言う神様に触れている私の魂は歓喜に包まれる。死は神々しく尊い場面。私の手を握りながら「ありがとうございます」と繰り返される。長い時間が流れ、その部屋は清々しい空気に包まれる。

ふと私は小さな頃の父との別れの日を思い出す。障子の桟が輝き、父の顔が神々しい光に包まれていた。その時と同じように、傍らの良子さんのお顔が輝いて見える。看取りボランティア、エンゼルの活動として、交代で良子さんの手を握る活動を始めて20日目。良子さんはご家族に見守られる中、静かに旅立たれた。

その美しいお顔を見せて頂けた私は幸せ者と心から思う。良子さんは子供さん、お孫さんに97年積み重ねた魂のエネルギーを手渡して、立派に旅立たれた。息子さんの穏やかな表情が、私には印象的だった。お通夜の玄関先、帰ろうとする私達に若いお孫さんが声をかける。「おばあちゃんは最期まで立派でした」と。立派な死を見ることのできたお孫さんは、きっと死の尊さを学び、生きる勇気を手にしたに違いない。

死をもって縁ある者たちに立派な生き方を教えた幸齢者様に感謝 合掌

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