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介護日記(215) 〜言葉を越えた魂の世界〜

左義長の火祭りも終わり、冷たい風が私を励ます。無償看取りボランティア、エンゼル活動で幸齢者様のお宅へ訪問する。97歳、寝たきりで言葉を話せない幸齢者様の静かな寝息にホッとする私だ。

唯一の介護者の娘さんが、「まだ私は介護をして初心者マークがとれないの」と笑顔で話される。そのお顔には、もう一年を迎える、在宅での暮らしの満足感と自信が浮かんでいる。「柴田さん、どうすればいつも平常心で暮らせますか?」と続く。

「こうして言葉もなく、静かに幸齢者様と呼吸を合わせて、穏やかに生きる事を教えて頂くんです」と答える。母の命を引き受けて生きる彼女の想い。話し進める内に、その命の重みに耐え切れないかのように、彼女の心が揺らいで見えた。

「寒いから」と手袋をされている幸齢者様。その手袋に娘さんの温かな思いが私にも伝わってくる。深い寝息の中に、とても穏やかな時間が流れ、今日もまた、傍にいる私の心を静かに穏やかへと導く。

人が存在し、そして傍らにいることで言葉でない交流ができることの尊さを体験する。お互いにそこにいるだけで、必要なんだと認め合うことの大切さ。静かな時間の中で私は教えて頂く。

そんな中で、今まで抱きしめてお看取りさせて頂いたたくさんの方々の笑顔が浮かんでくる。二度と会う事ができなくても、空を見て、星を見て、その人の笑い声や笑顔を思い出すことができる時、人はどれほど心が慰められ、生きていく力を与えられる事だろう。

生きる者は死者によって生かされ、死者はまた生きる者によって、生き続けていくことができる。「生と死」そして「死と生」は繋がっているのだと思える瞬間。言葉を越えて魂の世界を見せて下さる幸齢者様に感謝 合掌

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