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介護日記(227) 〜泣くことの尊さ〜

春を呼ぶチューリップの花を手に、看取り士として訪問する。

74才の母(肺ガンの末期)を看取る決心をした娘さんから御連絡を頂いて4ヶ月。

「私は病院で長く働いていた。人間らしい最期を迎えたいので、自宅にいたい。淋しすぎる病院はいやだ」

そう、きっぱりと言われたお母様。

先日、入浴中に意識不明になられ、救急搬送。本人の希望で独りで入浴中、いつまでたっても出てこられないお母様を、気遣う娘さんが発見。お風呂のお湯を抜いて、毛布をかけて救急車を呼ぶ。とっさの判断を必要とする重度の方との暮らし。その翌日の朝、毅然として「帰ります」と主張。病院から自宅に戻られる。

訪問当日、駅から御自宅までの長い道のりを、娘さんと話しながら歩く。この先、母はどうなっていくか、体験したことがない、自宅でひとり愛する人を看取るということへの不安。質問のひとつひとつに答えるには、この長い道を共に歩くことが必要だったと思った。

今まさに彼女は、登り坂があり、下り坂がある、先の見えない道を母と二人で歩く。お二人の心の杖でありたいと願いながら希望を語った。「不測の事態に備えて、心を平安にしておくことが大切ですね」と落ち着かれ、家に到着した。 お土産にとお持ちしたお寿司を「おいしい」と召し上がられ、「桜の花を一緒に見ようね」と約束したその5日後、娘2人、孫2人に手を握られる中で旅立たれた。

お母様を看取られた後、「最期、追いすがって泣き、それ以降、涙が止まりません」と、娘さんが言われる。

「泣く」は、「さんずい」に「立つ」。

「涙」は、「さんずい」に「戻る」。

泣くとは、たくさんの涙の後に、しっかりと自分を悲しみから取り戻せること。こんな尊いことを身を持って教えて下さる幸齢者様に感謝 合掌

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