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看取り士日記 (254)  〜宇宙大の慈愛〜

都忘れの清楚な花にひとときの安らぎを想う。

そんな中、1本の電話を受け取る。余命告知を受けながらも懸命に生きることを選択し続ける女性からだった。

「柴田さん、私はまだ生きていていいの?」こんな言葉から始まった。

「どこか痛いところはありますか? 辛いことはありますか?」

「食べるものが逆流するの。それがつらい」

たくさんのお話を聞きながら、「大丈夫です。病気の時くらい、わがままで良いんです」と言葉を添える。

翌日、私は彼女を訪ねる。

「お迎えが来ていますか?」と問うと、「まだ生きていろと言うことね。だれも迎えに来ないのよ」と初めて微笑まれた。手足に触れながら、豊かな時間を過ごす。彼女の周りは清々しいほどにやさしい空気に包まれていた。

長い時間が流れ「眠くなった。でも、もったいないから寝たくない」そういいながらも、寝息が聞こえてきた。

ご本人とご家族の希望で無償ボランティア、エンゼルチームの声掛けをする。

エンゼルチームはお一人に10人のボランティアを配置する。皆様に呼びかけると、すぐに1週間分のスケジュールが埋まった。

私の間違いでお昼の2時を深夜の2時と思われたボランティアさんは、わざわざ仕事が終わり次第すぐに駆けつけてくださった。深夜2時、身内でもない人のために新幹線に乗り、ホテルを取ってのボランティア。彼女の情熱に胸が熱くなる。これほどまでに他者を思うことができる、人間の計り知れない愛の深さに感動と感謝で涙した。

私たちの夢はすべての人が最期、愛されていると感じて旅立てる社会作り。この夢を共にする多くの仲間たちの存在は、私の、そして社会全体の宝であると確信した夜になった。

自らの身体を使って私に宇宙大の慈愛を教えてくれる彼女に感謝 合掌

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