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看取り士日記 (257)  〜空間は慈愛に満ちて〜

あさがおのやさしい青色に幼い日の思い出を重ねる季節。

私が親しくさせていただいている在宅医師、長尾和宏先生のブログの中に下記のような文章があった。

6回目か7回目の呼吸困難でのSOS電話が早朝五時にかかってきた。またいつもと同じ希望だったので、大病院に連絡して救急搬送となった。

しかし到着寸前に呼吸が停止し、救急救命師や医師たちが心臓マッサージをしたという。あらゆる蘇生処置を施したが、今回ばかりは蘇生できず、亡くなられたとのこと。蘇生処置成功が続いても、当然、いつかは限りがあるのだ。命はどこかで終わりがくる。

そんな文章をため息まじりに読ませていただいた後、お電話をいただき、恵子さん(86歳)のもとにかけつける。ご自宅に訪問し、そのドアを開けた瞬間、透明感の高い空間に驚く。そしてお部屋の中に入ると、その空間はやさしい光に包まれていた。

人は旅立ちの時、25メートルプール529杯分の水を瞬時に沸騰させるほどのエネルギーを出すと言われている。この膨大なエネルギーがお家、全体を清らかさで包んでいた。そこには、ほのかに甘い香りすら漂っていた。空間は愛、それを確信した時間だった。

お身体に触れると、言葉を失うほどに穏やかで安らかだった。ご家族にそれをお伝えすると、ご家族の中に温かい空気がさらに広がる。息子さんは「抱きしめるなんて何十年ぶりだろう」と照れながらお母様を抱かれる。

人は、赤ん坊として光の存在そのもので生まれてくる。そしてまた旅立つとき、私たちは光の存在として旅立っていく。私たちは死を見るのではなく、命そのもの、光に寄り添う存在なのだ。

その後、娘さんからこんな言葉をいただいた。

「大役を終えた母は孫たちひとりひとりの到着を待って皆に触れられながら、やすらかに静かに息を引き取りました。 とても静かで神聖な時間を親族皆で過ごしました。 心豊かで幸せな最高の看取りを経験することができました」

空間を光に変えて、愛する人々に抱きしめられて旅立たれた恵子さんに感謝 合掌

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