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看取り士日記 (264) 〜花に祈りを〜

こぶしの白い花が寒さに耐えて美しく咲き、私を励ましてくれる。

そんな中に1本の電話が入る。

「母は105歳です。今 1人で自宅にいます。もう食事が摂れなくなって1週間。24時間点滴でがんばってくれています。母の思いのままに自宅で暮らしています。でも僕は仕事があります。母の家はとても遠く、毎日は行けない。僕も働かないと食べられないんです。助けてください」

105歳。それはどんなに辛く長い人生だったことだろう。車もなく、農耕で暮らしを立て、戦争を経て、食べるものもない中、子供たちを育てあげられたとのこと。

そして「母は一人でも家に居たいと言っていました」とため息混じりにお話は続いた。

長く暮らされたその家には、お母様の呼吸が、お家の木々や屋根に宿っているのであろう。普段、何気なく使われている布団にも、温かい毛布にも、お母様の息遣いが染み込んでいるのだろう。今24時間点滴ではあるが、きっとお母様の中では、あたたかい空気が周りにあふれているのだろうと容易に想像できる。

「看取り士と無償ボランティアエンゼルチームの仕組みがあります。どうぞお使いください。きっとお役に立てます」

と言うと、「ケアマネジャーと相談します」と電話は切れた。

そして今、私はお母様の平安を祈り続けている。こぶしの花に祈りを込めて。

思えば2002年、私は100歳の幸齢者様に出会いこの活動を始めた。人は何のために生きるか?

人として最も重要な尊厳という自己決定権。この尊い権利を全うできる社会こそが真の豊かさと教えてくださった。初心に立ち戻らせていただいた凛と生きる幸齢者様に感謝 合掌

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