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看取り士日記 (267)  〜愛の喜び〜

ツツジの花があちこちの花壇に咲き踊る。ツツジの花言葉は“愛の喜び”。

「病院から父を連れて帰りたいので、看取り士さんをお願いします」と電話が入る。

病院の相談室でケアカンファレンスが行われる。担当ケアマネージャーさんから 「看取り士は何をしてくれるの?」との質問に、即座にかかりつけ医の先生が「患者本人とご家族の不安な心に寄り添ってくれる人だよ」と。

病院からご自宅に帰られた翌朝だった。ご連絡を頂き、直ぐに駆けつける。

お父様が寝ておられるお部屋からは庭がよく見え、ツツジの香りも漂っている。

「ありがとうございました」「おつかれさまでした」とお伝えする。かかりつけ医から「私は在宅医療を長くやっていますが、やはり病院から戻られてすぐに逝かれる方は多いです。きっと安心されるのでしょうね」との優しいお言葉に、ご家族様はホッと安心なさる。

お父様のお身体を楽な姿勢にする。お母様にも温かさを感じていただく。ご家族と一緒におむつを交換、衣類を整える。お父様の背中は汗をかいているぐらいポカポカとしている。

「昨日は同じ部屋で一緒に寝ました。いつもなら寝付くことができないのに、熟睡してしまって。3時に確認したときはゴロゴロしておらず、吸引も必要なく安心して寝ていました。ハッとして確認すると呼吸が止まっておりびっくりして。でも、その時はまだポッカポカでした」

美子さんは、なんで寝てしまったんだろうと、自分を責めていた。「よかったですね。お父様は美子さんがゆっくり眠れたことで安心されたんですね」とお伝えする。

そして弟さんが到着。「間に合いましたね、お父さん、待っておられましたよ。まだ温かいですよ」と、弟さんに抱きしめていただく。「本当だ、あったかいね」。仕事柄、海外が多い弟さんなのに、ちゃんと帰ってこられる日をお父様は選ばれた。「最期はご本人がプロデュースするんですね」と答える。

ご家族お一人お一人に触れて抱いて命をバトンして頂き、看取り士の役割は終わる。そしてグリーフケアも完了する。

死ぬ力は今を生きる私達一人一人が持つものと教えてくださった幸齢者様に感謝 合掌

担当看取り士 青柳利佳

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