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看取り士日記 (277) 〜愛は穏やかに〜

寒さも緩み、春の気配が感じられる頃。

入退院を繰り返している旦那様の容態が悪化し、一時は諦めたが「帰るなら今しかない」と決心された奥様から、相談のお電話が入った。

入院先に申し出てから次の日に、自宅に戻る準備が整う。旦那様は、すでに発語がない状態だが、奥様が声をかけると目を開けて反応する。初めの訪問から約1週間が過ぎ、今後どうすればいいのか、ゆっくりと教えて欲しいということで伺う。

入院中から数えて、何も口にしていない状態がすでに2週間が経過していたが、肌の血色はよく、艶やか。肺炎を起こした後だが、呼吸もとても穏やかで規則的。

しばらく呼吸を合わせ、お身体に触れさせて頂く。

「これは嬉しい展開です。時間がないと焦っていたのですが、最後に主人との時間をゆっくり過ごすという贈り物をもらいました」

そうおっしゃられる奥様に、今の状況やこれから考えられる変化についてお話をする。

「そういった話を誰もしてくれないので、何をしていいのか、分からなかったんです」

その後は、奥様の背に手を添えながらお二人の出会いのお話や、関わってきた方々との思い出話をお聞きする。

病院から自宅に帰られて、11日目。

旦那様は静かに息を切られる。

奥様の受け入れの準備が整ったのを見計らい、旅立っていった旦那様は、生き切って奥様へ愛を渡していらっしゃったのだと感じる。

こころやさしく穏やかに、お二人の深い愛に寄り添わせて頂けたことに、心から感謝、合掌

担当看取り士 清水直美

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