全ての人の尊厳が認められる未来へ
鳥取県米子市出身。1979 年生まれ。
2005 年 2 月 5 日より 2 週間、ボランティアとしてなごみの里で働き、その後の 2005 年 2 月下旬 〜 2005 年 4 月下旬の約 2 ヶ月間、なごみの里でスタッフとして働く。
現在は米子市にある実家に戻り、柴田代表から頼まれた時に来島したり、本土での講演の時に講演運営を行ったり、ボランティアとしてなごみの里をサポートしている。
宮本: 出身は米子とのことですが、米子というと普通の都会ですよね。
原田: はい。普通の町でございます。
宮本: こちらに来て、実際にはこういうところですけど、どうでしたか?
原田: 静かです。もう、とにかく静かだなって。
宮本: 米子と比べると、こちらの方がすごしやすいですか?
原田: いえ、そんなことはないです。それぞれですね。米子にもいいところはあるし、知夫里島にもいいところはあるし。
宮本: 都会には都会の……買うのは楽だし何でもあるし。
原田: 楽しいし。
宮本: 田舎の方でも、さきほど言った静かみたいなところがあると。
原田: そうそう。だからどちらがすごしやすいというのはなくて、どちらも好きですよ。
宮本: じゃぁ、次にここに入ろうと思った動機について……なんか今思ったんですけど、面接試験のようですね、はい(笑)。
横で書き物をしていたスタッフの藤ヶ森さん含め 3人笑
藤ヶ森: 何か聞いてると笑っちゃうね。
宮本: 「当社に入りたいと思った動機について、詳しく聞かせて下さい」(笑)
原田: まず、去年の 8月頃に米子で柴田先生の講演を聴く機会がございまして……その時に本(『「ありがとう」は祈りの言葉』)を頂き、それを読んで大変感動しまして……うーん、なんだろう。その時は本当に病気というか病み上がりというか、本当に元気がなかった時だったんです。あの本には島のお年寄り達、幸齢者さんたちの生き様が書いてあるではないですか。それを読んでいて、自分に足りないものばかりを持っている人たちがいるところだと思って、あぁこれは見てみたいなーと。それからヘルパーの勉強をはじめまして、ヘルパー 2級を取ってからこちらに来た、という感じです。
宮本: 凛として生きる、ということに感動したと。
原田: そうですね。強さと……粘りと……後は、おおらかさ、明るさ、ね。
宮本: 粘り?(笑)
原田: 粘り(笑)。うん、生命力とか……粘り……粘り強さ、かな。
宮本: 最初のほうは、ボランティアで何回か行ったり来たりしながら……という話でしたが。
原田: そうですね。で、 2週間お世話になった時に「どうですかー?」という話が出て。ついつい……「はい」って決まったんですね。
宮本: 口車に乗せられたと(笑)。
原田: あはは。「はいっ!」って言っちゃいましたね(笑)。
宮本: その後大体 2ヶ月くらいスタッフとして働いていた。
原田: そうですー。
宮本: で、 4月下旬にこちらを出てからも、今みたいに*1来られていると。実際には何回くらい来てるんですか?
原田: 何回……何回かなー? 麻衣さん*2。
藤ヶ森: …… 2回…… 3回…… 4回じゃないかな。
宮本: そうすると、 1月に 1回くらい?
原田: それくらいを目標に、はい。来てる感じです。
宮本: ここに来て、得たものってありますか。
原田: 多すぎますね。
宮本: 皆さんそうおっしゃりますね。
原田: そうですよねー。うーん、思いついたものから言えば……整理整頓。
宮本: いきなり実務的なものが来ましたねー。
原田: いやー、でも本当にすごい大事だと思いました整理整頓が。後は……うーん、やっぱりものを一個一個大事にすること、うん。それと「全てのものに助けられて生きているんだ」という実感……後はお年寄りさん、幸齢者さんにたいする考え方……。
宮本: 考え方。こう、変わったということでしょうか?
原田: まったく、はい。変わりました。
宮本: ふむ。それ以外には何かありますか?
原田: うーん……。
宮本: ……まぁ、いきなり言われたってね(笑)。
原田: ぽんぽんぽんぽん出てくるわけでもないですね(笑)。うん、でもやっぱり整理整頓は大きいですね。
宮本: それは「自立」という意味で?
原田: あー、それそれ、それです。……うん。「生きる力」を得ました。
宮本: 「基本的な生活能力」。
原田: そうそう、それです。
宮本: こちらに来る前の自分と、ここで 2ヶ月スタッフとして働いた後の自分。どこが一番変わったと思いますか?
原田: どこが一番……うーん……。
宮本: 多分得たものが色々あって、変わった部分も一杯あるとは思うんですけど。
原田: …………あれ、何でしたっけ質問(笑)。あはは、すいません。
宮本: 来る前と来た後、どこが一番変わったか(笑)。
原田: 整理整頓。
宮本: やっぱり生活能力というのが大きい、と。
原田: そうです。整理整頓。ここに来た後から、実家がすっごく綺麗になりました。はい、でも凄いそれって大事だと思いました。
宮本: こう「死」とか、そういうメンタルな部分よりも、基本的なことをできるようになったっていうのが、結構大きかった?
原田: 大きいですねー。それが何か精神的な安定にも繋っていると思います。
宮本: それができてから、じゃぁ次のステップへ、みたいな感じですか?
原田: そういう感じです、はい。
宮本: 今の原田さんにとって「死」とは何ですか?
原田: 凄い質問ですね。「死とは何ですか」。
宮本: 難しい質問ですよね。
原田: うん、凄く難しいです。
宮本: うーん、でもなごみの里というと、そういった部分で見られてるところっていうのが多いと思うんですよ。で、原田さんは実際にここで働かれていたわけで……「何ですか?」というより「どういう風に変化していきましたか?」でしょうか。
原田: うーん……あー、もう「生きよう」とは思いますね。死がどうのとかではなくて、もう…………。
宮本: 「生きよう」と。
原田: そう。ここに来ることによって「できること」っていうのが凄い強調される感じ。そのために「何とか生き抜く」とか「生き抜きたい」……。
宮本: ここにきて幸齢者さんと近くで付き合うことで、そういう感情が強くなってきた、と。
原田: そうですね。
宮本: それでは、一緒に過ごしている幸齢者さんというのは、どんな方達ですか?
原田: もう、やっぱり人生の師匠です、はい。
宮本: それはもう、昔からそういう考え方だった?
原田: いえいえ、ここに来てこう……もう一緒に、毎日その姿を見せて頂いているだけで、とにかく勉強になります。何かを教えて頂ける……っていう。
宮本: なるほど。
原田: はい。いや、ありがたいです。
宮本: 今の原田さんにとって「なごみの里」とは、何でしょう?
原田: あーもー、ほんと学校です。
宮本: 学びの……。
原田: 学びの場です。
宮本: 実際スタッフとしてこう卒業された後も、学ぶことがあるからここに来ているということでしょうか。
原田: いや、卒業できてないんですよ、多分。うん、留年中です(笑)。
宮本: 留年中って(笑)。じゃぁ……こちらに復学される予定とか、そういう気持ちというのもある?
原田: うーん、でも新しく色々なことを……進路は考えているんです。
宮本: 色々。ここ以外にも。
原田: はい。
宮本: …………あ、先ほどの質問が次の質問とかぶってました(笑)。
原田: あはは。
宮本: 次の質問は「将来はどうなされるつもりですか」だったんですが(笑)。「どうなされる」って言っても難しいとは思うんですけどね。
原田: うーん、将来…………。きちんと……きちんとというか……うん、どっしり生きていきたいですね。何をするにしても。ここの幸齢者様のように。
宮本: そういう生き方に向けて今は学び途中、と。
原田: はい、勉強してますー。
宮本: それはあの、ヘルパーの方面とかも、他の方面とかも?
原田: うん、どうしようかなーと。まー、でも何をするにしても、どっしりできればと。それと整理整頓(笑)。
宮本: 整理整頓(笑)。基本的なことを疎かにせずに。
原田: そうですそうです。基礎をがっちりと。
宮本: 夢はありますか?
原田: 夢は……ありますか?
宮本: 私に問われても困るんですけど(笑)。
原田: うーん……あー「将来どうなされるおつもりですか」の答えと同じですね。とにかくこう……どっしり生きること。
宮本: どっしり生きること。ここで学んだ事をいかして。
原田: そうですね。もう優しくありたいですね、はい。素直に面白く、人を大事に、感謝の気持ちを込めて、謙虚な気持ちを忘れずに。そういうふうに老いていけたらなーと思います。