全ての人の尊厳が認められる未来へ
島根県出雲市(旧簸川郡)大社町出身。 1984 年生まれ。
2005 年 12 月時点では、柴田代表を除いて唯一の島根県出身。実家は 2 世帯同居。柴田代表と母親が講演を通じた知り合いで、その縁でなごみの里のスタッフとして 2005 年 7 月より勤務。
スタッフ中では最年少、かつ唯一の男性*1。愛称は「しーちゃん」。
宮本: これからインタビューになります。しーちゃんが……そもそも、この「しーちゃん」って誰の命名でしたっけ?
板倉: 柴田さんです。
宮本: これ「しーちゃん」っていうのは「し」……。
板倉: 歴史の史です、名前の。
宮本: なるほどね。で、しーちゃんが今まで住んでいたのが大社町。大社町って私は行ったことないんですけれども。
板倉: あ、そうなんですか。出雲大社のお膝元です。
宮本: お膝元。
板倉: そうです。何で島根県の県庁が松江かってことですよ。出雲にしろよ(笑)。だって出雲って真ん中じゃないですか。
宮本: それは私に言われても(笑)。で、大社町ってどんなところでしょう?
板倉: とりあえず、24時間営業してるのは、ポプラとローソンです。
宮本: そんなに田舎でもない。
板倉: いや、田舎です。遊ぶところがないですもん。レジャー施設というのがなくて、あるのは心霊スポットくらいです(笑)。
宮本: 一杯ありそうだね、あそこらへんは(笑)。
板倉: そうですね(笑)。
宮本: それじゃぁ、大社町から近い都会というか……ターミナルみたいな場所は?
板倉: それが出雲なんですよ。
宮本: それが出雲なんだ。出雲辺りまでは 1 時間くらい?
板倉: 車でだったら、すぐですけど。 20 分くらいかな。自転車だったら 1 時間くらいですね。
宮本: 出雲のほうには娯楽施設などが?
板倉: あります。カラオケとかゲームセンター、ショッピングセンター、飲み屋があり、ケンタッキーもあり……色々。
宮本: なるほど。それで、こちらのほうに移ってきて、どうでしたか?
板倉: あ、ここですか。別に特に……。
宮本: でもやっぱり……まあ、女の人じゃないとあんまし関係ないのかもね。
板倉: ショッピングとか?
宮本: そう。
板倉: ショッピングとかはないですね。とりあえずここは終わるのが遅い*2じゃないですか。出るところもなく、ですね。
宮本: シャワーがないとかの話も……あれ、シャワーはあったんだっけ?
板倉: ありましたよ。
宮本: 男子寮は最初からあったんだ(笑)。……ま、水洗トイレの話とかもね。
板倉: 別にたいして。だって出雲でも水洗トイレじゃないところありますよ。うちのおばあちゃんのところは、ボットンです。
宮本: そうなんだ。
板倉: ……で、結局何が聞きたかったんでしたっけ?(笑)
宮本: (笑)。「不便なところとか、いいところとかは?」って話。
板倉: あぁ、ありますよ、不便なところ。店が 7 時過ぎに終わっちゃう。
宮本: んー、でもそれはここの終業時間が遅いっていうのも。
板倉: うーん。あとは……何かものを買うにしろ車で行かなきゃならない。ものを買いに行くところが遠い。あとはあのー JA(農業協同組合) が日曜日休みとか。
宮本: 本土でも JA は日曜休みですが?(笑)
板倉: ATM が……あそこを開けてほしい。
宮本: あれ、郵便局は?
板倉: 開いてるのかな*3。今度日曜日に試してみよう。
宮本: じゃぁ、良かった点は?
板倉: 景色がいい。薄毛(なごみの里がある地区)は山が低いじゃないですか。だけん、空もよく見えるし、海も見えるし。
宮本: あー、空が広いもんね。
板倉: そうそう。それに海が好きなんですよ。山より海が好きなんですよ。何かあると海へ行ってこう……「はぁ〜」ってやってたんですよ(笑)。
宮本: 「はぁ〜」って何(笑)。
板倉: ははは(ごまかし笑い)。あとは……やっぱり人がいい。いい関係というか……やっぱ挨拶したら挨拶してくれるじゃないですか。「おはようございます」「おはようございます」。
宮本: 大社はしてくんない?
板倉: うちのまわりはしてくれますけど、ちょっと離れて知らんところになると全然ないですよ。昔は俺はどんな知らない人でも声かけてましたけんね。おばあちゃんとかだったら「こんにちわ〜」とか返してくれますけど、やっぱ若い人は「誰、誰?」って。
宮本: ……なるほど。まぁ、田舎のいいところではあるよね。
宮本: ここに入ろうと思った経緯なんですけど、美子さん絡み?
板倉: そう、お母さん絡み。
宮本: ここに来たのは 7 月?
板倉: 7 月の 6 日です。
宮本: 何で皆正確な日付覚えてるかな*4……えーと 7 月 6 日からね。
板倉: 早かったですよ。行くか行かんか決まったのが、その 4 日くらい前ですけんね。その 1 週間か 2 週間かくらい前に「行かんか?」って言われてて……最初は断っとったんですよ。で、色々とあって……。
宮本: 何かここの人は「色々とあって」っていうのが好きなんですね(笑)。その色々とは?
板倉: それは秘密です(笑)。色々とあって 3 日くらい前に「行くか」みたいな感じで。準備して、来て、次の日から仕事(笑)。
宮本: そんなんだったんだ(笑)。美子さんはその時点で柴田さんと会っていたんですよね?
板倉: 講演でね。講演を聞いてうちの母さんが大ファンになって、ちょうど男の子が(なごみの里に)おらんけんって話をしておったら、うちの母さんが「うちの子が遊んどるよ」って。うちの母さんも「まぁ、柴田さんのところなら」みたいな感じで。うちの母さんもね、行動が早いですから。
宮本: じゃぁ、いつのまにかそんな感じになってしまっていたと。
板倉: いつのまにか決まってた(笑)。もちろん、最終的には俺の意思で来たんですけど。
宮本: ふむ。……その意思っていうのは、何かやっぱりあった? この種類の仕事をやるのははじめてだと思うんだけど、いきなりぽっと来て「おぉ、じゃぁやるか」みたいなのは、なかなかないと思うんだけど。
板倉: そうですか? 基本的に俺おじいちゃんおばあちゃんが好きなんですよ。うちの家にもおじいちゃんおばあちゃんがいますし。
宮本: あぁ、そうか。それがあったんだよね。「別に普通のことじゃん」みたいな。
板倉: そうそうそう。うちのまわりもこんな感じで、おばあちゃんの友達がお茶をしに毎日のように来ますけんね。
宮本: そうか。だから別にこういう仕事をやることに関しては別にこう……不安はなかった。
板倉: やっぱり本土から離れるってことに不安はありましたけど、それくらいですね。
宮本: なるほどね。それ以外には別に抵抗がなかったから「とりあえず行ってみるか」みたいな。
板倉: そう。最初はそんな感じだったんですよ。「行ってみたら 1 ヶ月で俺やめちゃうだろうなー」って。
宮本: 自分で思ってたんだ(笑)。
板倉: ところがどっこい(笑)。
宮本: 住めば都(笑)。
板倉: そんな感じです(笑)。
宮本: こちらに来て介護というのをはじめてやったと思うんですけど、どんな感じですか? どんな感じですかというか……私は 2 世帯じゃない親しかいない家庭だったんで、そういうおじいちゃんおばあちゃんがいる家庭を想像できないんですが、こういうことを普通に家でもやってたんですか? そんなこともない?
板倉: 俺が小学 2 くらいの頃だったっけかな、ちっちゃいころにうちの曾ばあちゃんは家で見とったんですよ。曾おばあちゃんが寝たきりの状態を、うちのおばあちゃんが介護をしてて……オムツを替えたりだとか、ご飯を食べさせたりだとか。で、結局その曾おばあちゃんはそのまま家で亡くなったんで、だから今まで家で死ぬのが当たり前だと思ってました。そういう施設があるってことも、うちのお母さんが介護をしてるんで知ってましたけど……まぁ、ここに来て色々と勉強になりました。
宮本: ……そういう環境のこともそうだけど、実際の業務っていうこともあるじゃないですか。そういうのに関しては不安というのはなかった?
板倉: 特には。
宮本: 幸齢者の方に普通に接している方にとっては、普通のことなんですかね。
板倉: 多分、そうなんじゃないんですかね。
宮本: やり方自体を教わればできる。
板倉: そうそう。特に抵抗なんかもなかったです。はじめはやっぱりはじめて会うわけで、緊張もしましたけどね。
宮本: ……それはなんか、すごい興味深い話ですね。
宮本: ここに入って得たものはありますか。
板倉: 得たもの……。考える時間。色々と自分の人生を振り返るというか……。うーん、「あのままいっとったらやっぱ俺はどうなっとったんかなー*5」と思うときもあったし。うん、色々勉強になった。俺は昔から「20 歳まで遊んで 20 歳から頑張ればいいかな」って思っとったんですけど、気付いたらもう 20 になってる。「あら?」(笑)。今考えれば、もっと前からちゃんとやっとけばよかったなーと思いましたし、そろそろ頑張らないかんかなとかも思いつつ……。
宮本: なるほどね。そういうことを考える時間を得たと。
板倉: そうですね。他にもね、結構あるんですけど……。
宮本: 料理とか?
板倉: 料理、料理もだし、何だろう……色々ありますね。大体俺はここの生活、色々な関わり方とか……ああいう関係は、俺は当たり前と思っとったんですよ。
宮本: 幸齢者様とか地域の皆さんとの?
板倉: うん、地域とか、幸齢者様との関係とか、とか、とかとかとかとか……。
宮本: とかとかで言われても(笑)。
板倉: 食事は皆で取るもんだとか。
宮本: あぁ、なるほど。…………えーっと、すいません。元の質問は「得たもの」ですが(笑)。
板倉: 得たものですか(笑)。
宮本: 皆こう話していると話がどんどん脱線していくっていう傾向が見られます(笑)。
板倉: (笑)。得たもの…………感謝の気持ち。「感謝」という言葉を出すこと。「ありがとう」という言葉を出すこと。前から心の中では「ありがとう」は言うんですよ、いつも当たり前のように言っとったんですよ。何かあったら「ありがとうございます」って。だけどやっぱりここに来て改めて、使う機会が増えたし、改めて考えました。
宮本: 基本的にいつも「ありがとう」ですもんね、ここはね。
板倉: うん。それと「感謝してます」っていうのは俺は前は使ってなかったんですよ。「ありがとう」とは言っても、「感謝しています」っていうのは普段使わんじゃないですか。でも、ここに来てからは使うようになったんですよ。それはやっぱり柴田さんの影響じゃないですかね。ここに色々手紙とか送られたり、電話とかされる方も「感謝してます」とか「ありがとう」とかをよく使われてますしね。そこんとこもすごいなぁと思って。やっぱり、ここは言葉の大切さというか……。色々失敗もしましたけど、本当に勉強になりました。
宮本: 尊敬する人は誰ですか。
板倉: 尊敬する人。なんかおったなー…………。坂本竜馬とか好きですよ。あの人はすごいと思いますもん。人に対する差別もないし、思ったことをはっきり言うし、思い立ったら行動の人だったし。その行動力とか、考え方はすごいと思っとる。身分が元々結構低かったのに、日本を変えようと思って、誰もなしえないようなことをしたわけじゃないですか。命を懸けて脱藩までして。それでいてすごい大胆なんですよね。
宮本: そういう人に、できればなれればいいなと思ってる?
板倉: そういう人に私はなりたい(笑)。でも、なかなかそれは難しいですね。柔らかい考え方というか……。
宮本: 柔軟性。
板倉: そう。
宮本: 行動力、そして平等。
板倉: そうそう。
宮本: 「死」とは何ですか?
板倉: 死とは……死ですか……。何だろうか…………。俺の考えだと、滅亡というか自分の存在がなくなる、色んな人の心の中から自分がなくなる時っていうのが本当の死だと思うんですよ。
宮本: 自分のことを誰も知らなくなった時に、本当に死ぬと。
板倉: そうそう。だけんもし肉体がなくなっても、他の人の中に「そういえばおったな。そんなやつ」っていうのがあれば、その人の中で俺は生きとるし。
宮本: 例えですが、ナポレオンは死んでますか?
板倉: ナポレオンはもう名前だけじゃないですか。ナポレオンがどういう人でっていうのがもうないじゃないですか。
宮本: なるほどね。じゃぁ、その人がいなくなって他の人の記憶から消える…………えーと、 100 年後くらいになって死ぬと。
板倉: ナポレオンの話に戻りますけどー……。
宮本: 戻るのかよ(笑)。
板倉: ナポレオンのことをすごい好きで、ナポレオンについて色々なことを知ってる人だったら、その人の中でナポレオンは生きているんですよ。俺ん中ではそういうのがないんで、ナポレオンはいないです。
宮本: 坂本竜馬は?
板倉: 生きてます。俺の中では。
宮本: つまり…………残すものがある限り、それは肉体が滅んだだけだと。
板倉: そうです。家族とかでもそうなんですけど、たとえうちのお母さんが亡くなっても俺ん中では生きとるじゃないですか。それに俺ん中ではまだ曾ばあちゃんが生きとるじゃないですか。そんな感じかなーと思いますね。
宮本: わかりました。……ついでに聞くけど、そういうものを残すようにして生きていたい?
板倉: 特には。……まぁ、なるようにしかならんじゃないですか(笑)。
宮本: 確かに(笑)。
宮本: ここで一緒に過ごされている幸齢者様とはどんな方達ですか?
板倉: ん? おばあちゃん。
宮本: そのまんまやんけ(笑)。そのままですか?
板倉: そう。
宮本: 大社町のおじいちゃんおばあちゃんはここの幸齢者様とあんまり変わらない?
板倉: いや、言葉とか喋り方は違いますよ。
宮本: それは方言だから(笑)。
板倉: うん(笑)。喋り方。やっぱ知夫里弁が違いますよ。
宮本: いやそれは当たり前だから(笑)。それ以外の面では?
板倉: うーん……基本的には似たようなもんじゃないですか。でも俺も別に(大社町で)寝たきりの人を見ていたわけじゃないし、ただ歩いてうちにお茶しに来る……まぁ、おばあちゃんっていえばおばあちゃんだけど、そういう人達とか。後は友達のおばあちゃんとか、うちのおばあちゃんとか。
宮本: 大社のほうには知夫里みたいなところがあるわけだ。
板倉: うーん、でも、少ないですよ。おじいちゃんおばあちゃんが多いところはありますけど、大社も結構過疎化してきてるって話もありますし。もう小学校とかも中学校とかもクラスがどんどん減ってますけんね。
宮本: そうなんだ。……あれ? 大社町っていうのは海があるんですか?
板倉: 海ばっかです。海あり山あり……谷はないんですけど(笑)。
宮本: 漁師町なんだ?
板倉: そうですね。大社町っていうか、俺が住んでた杵築(きずき)地区で海に面しているあたりは、漁師さんとかが多いんですよ。
宮本: そういう部分でもここと似ている感じがあるのかもしれないね。
板倉: 漁師町ですからねー。
宮本: ……なるほど。興味深い話でした。
板倉: おばあちゃんの好きなところとか聞かないんですか?(笑)
宮本: 「どんな方達ですか?」ですから何でもいいですよ。どんなところが?
板倉: 可愛いって言ったら失礼なんですけど、うーん……とげとげしさが全然ないというか、もうすごい穏やかで。「まぁ、お茶でもするだわいね」とか。静さん(なごみの里の幸齢者様の 1 人)とかでもやっぱ笑われたり……ちょっとしたことで「ふふふ」って笑うとか(笑)。とげとげしさが本当にないし、見栄を張ってることもないじゃないですか。だけん、俺がすきなのは、そういうところかな。それで、今の世の中はそれがないじゃないですか。おばあちゃんと一緒に生活するっていうのが。
宮本: うん。どんどん減ってきてるね。
板倉: だけん、お父さんお母さんだけがいて、癒される部分がないじゃないですか。俺はおじいちゃんおばあちゃんっていうのは、やっぱり癒し癒される存在だと思ってる。
宮本: お父さんお母さんが両方厳しくても、おじいちゃんおばあちゃんがいれば、と。
板倉: そうそう。おじいちゃんおばあちゃんがおればね。親は厳しく祖父母は優しくいけば、結構均等に保つんじゃないかな、と思いますね。
宮本: 将来はどうなされる予定ですか。
板倉: 俺はあのー……自動車板金を。
宮本: 自動車板金?
板倉: 今のところ、ですけど。
宮本: それはお父さんがやってることでしたっけ?
板倉: そうです。
宮本: あ、そうか。高校は機械のほうって言ってたもんね。
板倉: あぁ、それは関係ないです(笑)。機械科で機械のことを習うと思ってるかもしれませんが。
宮本: 全然思ってる(笑)。
板倉: 部類が違います。まぁ、そこで色々学びましたけど。
宮本: でも、私はフライス盤*6で切り出したりはできないんですけど。
板倉: 俺もそんな……(笑)。
宮本: そうなんだ(笑)。何か「機械科」っていうと、もうギャーッッとか音をたててやってそうな感じがするんだけど。
板倉: それはほんと専門的なところですね。工業高校は幅広かったんですよ。少しずつ色んなことをかじっていく。
宮本: 広く浅く。
板倉: そうそうそう。
宮本: なるほどね。で……将来は自動車板金?
板倉: 今んとこはです。自動車板金というか……板倉板金を大きくしようかな、と。
宮本: じゃぁ、実家を継ごうかと思ってるんだ。
板倉: そうそう。やっぱし設備もあるし、土地も工場もあるし……あとは技術だけみたいな。
宮本: でも、自動車板金ってすぐ入ってすぐできる仕事でも……ないわけだよね?
板倉: やっぱり技術の世界なんで……でも、資格はいらないんですよ。自動車を板金するだけなんで。
宮本: じゃぁ、仕事をある程度やっていけばどうにかなるような感じ?
板倉: でも、なかなか難しいんですよ。
宮本: そら仕事はどんなんでもある程度難しいですけど(笑)。
板倉: 今はね、グラムで色を計るんですよ。何グラム何グラム何グラムで色が出て、色番とかあって。でもやっぱしそれを吹いただけだと同じ色にならないんですよ。日が当たって色が褪せたりとか。それを上手くやるのは、やっぱり技術が必要なんですよ。
宮本: 職人技だ。
板倉: そう。あと塗るのにも技術が必要なんですよ。塗るだけでもまわりに粒が飛ぶじゃないですか。そこを上手い具合にせないけん。板金にしろキチッとこう、波があったら光加減とかでわかりますけんね。あと時間が経つと色褪せたりとか……。
宮本: 時間が経ってから重ね塗りすると、そこらへんの境界がおかしくなってたり。
板倉: あるんですよね、やっぱり。難しいんですよ。だけん上手いとこでやると、やっぱり上手いんですよね。俺はそこを上手くなりたい。やり方によっちゃ板倉板金を大きくしたいです。
宮本: 夢はありますか? ……って、さきほどの質問とかぶってますね。
板倉: 夢ですか。俺ちっちゃい頃からの夢があるんですよ。
宮本: 大統領?(笑)
板倉: 社長になることです(笑)。
宮本: 板倉板金を継げば大丈夫(笑)。
板倉: そうだねぇ(笑)。なかなかね、社長というのが難しいというのがここに来てわかりました。うちのお父ちゃんは自営業で職員も雇ってないんですよ。自分ひとりでやっとるんで。だけん、結構気軽にやっとるんですよね。
宮本: そうなんだ。じゃぁ、それを社員を雇ったりだとかで拡張していければ、と?
板倉: 社員を雇うかぁ……。でも、技術がある人が強いんですよ。やっぱり技術がない人はどうしょうもないじゃないですか。
宮本: 頑張って育てるとか。
板倉: その育てるのに何年かかるか、とか。
宮本: でもそういうのをやってないからこそ、皆様後継者問題に悩んでいるわけで(笑)。
板倉: うちの場合は別に継がんでもいいって言ってたんで、悩んでることはないんですけど。あれはお父さんの道楽というか、半分趣味でやってるんですよ。お父さんは車が好きで、そういう仕事が好きだけんやってるわけで、(両親が)あんたも好きなようにしなさいと。基本的に俺はものを直すのが好き……嫌いじゃないんですよ。分解したりするのも、嫌いじゃないんですよね。
宮本: たまにやってるもんね。
板倉: うん。構造が知りたいんですよ。でもそれをしたとして、はたして組み立てられるかっていったら、難しいんですけど(笑)。
宮本: 確かにそれは別の問題だ(笑)。
板倉: 結構ありますよね。昔から(笑)。
宮本: どうやって動いてるんだろうって分解したはいいんだけど、戻せなくなっちゃったりとかね(笑)。
板倉: そうそう(笑)、
宮本: そうかー。分解人生か。
板倉: 自分自身もいつか分解しそうですよ(笑)。