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特定非営利活動法人 なごみの里

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なごみの里スタッフインタビュー(松山美由紀さん)

プロフィール

松山さん(インタビュー中)

福岡県出身。1962 年生まれ。 2 児の母。

なごみの里代表の柴田さんとは 1996 年頃に福岡の有料老人ホームにて出会う。設立当時のスタッフ 3 名のうちの 1 人。

島の暮らしやすさについて

宮本: ここに来る前は福岡に住んでいたということですが、福岡というと本土というか普通の生活ですよね。コンビニもあればスーパーもあるというような。

松山: はい、もちろん。

宮本: 結構都会ですよね。

松山: 大都会です。

宮本: そういう都会からこちらに移ってきて、実際のところはどうでしたか? すごしやすいですか?

松山: すごしやすいです。少なくとも私にとっては。

宮本: 買い物とかはどうしても制約があるかと思いますけど……?

松山: うーん、特別欲しいものがあるわけでもないし。

宮本: なるほど。じゃぁ、ここでの生活で何か困ったこととかありましたか?

松山: あんまり困っていることっていうのはないですね。食べていければ特には困りません。

宮本: 買い物も店があるといえばありますしね。特別変わらないと。

松山: そうですね。困るっていう感覚は今のところないですね。

なごみの里で働くようになった理由

宮本: 次はなごみの里のことについてですが、もともとそういう仕事をしていて、そういう死生観みたいのがあって、それが働くようになった理由ですか? 福岡から知夫里島に来た時の決意とか、そういうものがあるかと思うんですが。

松山: 決意? 全然してないです。自分の中では何の疑いもなく決まっていたことだから。

宮本: 元々何かそういういわゆる老人ホームで働いていて「そういうところがあればいいな」と、そう考えていたということでしょうか。

松山: 「あればいいな」ではなくて、もっと現実的に考えてましたね。「誰かがやらないと」というか、むしろ「やるべきことだ」とは思ってました。

宮本: 私はあまりこの業界のことを知らないんですけど、そういう考えというのはこの業界の人間だったら自然と抱くものなのでしょうか? 現在のなごみの里には松山さんの他に相田さん須和さん*1がここに来ているわけですけど。

松山: あるんじゃないかなとは思いますね。一生懸命になればなるほど。他の人がどう感じたかは私はわからないですけど、本当にこれでいいのかなって、やっぱりジレンマに入るんじゃないですかね。

宮本: 最期だけは何か病院にとか、幸齢者様の扱いとか、そういうのも含めてでしょうか?

松山: それもあるでしょうけど……どう言ったらいいんでしょうね。ただ、私はちょっと切り口が、入り口が違うかもしれないですね。現場のやるせなさみたいなのは確かにいっぱいあるし、それも知ってるし、経験もしてますけど、老人ホームでの業務をやっていてそうなってんではなくて、もっと最初の段階でバンと死があって、いつもそれをこう置いて色々なことを見てきたから。いつも「はてな?」とか、「あれ?」って。

宮本: じゃぁむしろ介護が先にきて現場でそうなったということが働くようになった理由ではなくて、最初に「死」というものを考えることからはじまって、ということですか。その「あれ?」とか「はてな?」っていうのは、どこからはじまったんですか?

松山: 多分もとは自分の家族の経験からじゃないかな、と思います。子供の頃の家族の看取り経験。

宮本: なるほど。話を聞いているとそういう人って多いですね。柴田さんにしてもそうですし、前に見学に来られた方もそういってましたし。

松山: どうなんでしょうね。その時々の思いはそれぞれだと思いますけど。ただ、私の場合は元をただすとそこなのかなとは思いますよ。

なごみの里で得たもの

宮本: ここに入って得たものって、何がありますか? 「得たものがありません」とか言われると困っちゃうんですけど(笑)。

松山: 得たものは沢山あります。うーん、沢山ありすぎて困るかな(笑)。すごく楽しいのは……どう言ったらいいのかな。……毎日哲学できる事?

宮本: 何となくわかります。都会ではなかなか難しい事ですよね。

松山: うん。やっぱり理想というか、想いと現実のギャップが開いちゃってっていうのはあるかな。

宮本: それがここにくると結構……当然ここにいても現実とのギャップっていうのはあると思うんですが、少なくとも都会よりは直結?

松山: 直結というか、自然かな。自分の中では。理想って言うよりも、もっともっとこう自分を見ることのほうが多いのかな。

宮本: 自分を見ることのほうが多くなるから、特に理想とかについて考えない?

松山: どう言ったらいいんだろう。理想に近づくんではなくて……どう生きるかっていうよりも、どうあるべきかのほうが、こう……。

宮本: 理想を求めていくのではなくて、規範みたいなものでしょうか。自分がどういう人になりたいとかではなくて、どう生きるべきか。

松山: うーん……何をなすかよりも何をなさないか、かな? ……日本語って難しいですねー。

宮本: 難しいです。うーん、なさないっていうのは、何かしちゃいけないみたいな感じですよね。

松山: あー、そうですよね。決してそういう意味じゃないんですけど。…………ちょっとボキャブラリー不足ですみません。

宮本: ちょっと質問を変えますけど、そういった点も含めて、こっちに来てから落ち着いた部分というのはありますか?

松山: 落ち着いた……そうですねー。色んなことが落ち着いていったとは思います。プライベートのことも、自分自身のことも。まだまだだとは思うけど、全然まだまだだとは思うけど。それはまぁ柴田さんに教えてもらいながらなので。

宮本: そういうのも得たもの、と。

松山: もちろん。

なごみの里代表の柴田さんについて

宮本: 福岡の老人ホームの頃から大体十年間くらい、代表の柴田さんと一緒にいると聞きましたが、松山さんから見て柴田さんはどんな人ですか?

松山: どんな人……先生。うーん、元々はプライベートの事は全然知りませんでしたし、ここに来ても年齢知りませんでしたし、見学者さん向けの自己紹介で聞くまでどこの出身かも知らなかったし。「え、島根県だったんだ!」。

宮本: 結構謎の人ですか。

松山: いや謎だとは思ってないですが。そうですねー、一言で言うと……「大きい人」かな。

宮本: 大きい人ですか。「大(だい)」ですか。

松山: 「特大(とくだい)」です。色んな意味でね。とっても。

柴田さんのエピソード

宮本: 何かこう、柴田さんらしいエピソード……。

松山: エピソード? 笑い話ばかりですけどいいんですか?

宮本: 笑い話は一杯あると。

松山: 笑い話はね。私にも沢山ありますよ。笑えそうで笑えない、笑えるんだけど本当は笑えない話っていうのは、私が一番持ってますね。うーん、エピソード……柴田さんの場合は、何かこう普通に息してるのもエピソードになりそうですよね。

宮本: 何となくわかります。で、何かありますか?

松山: 柴田さーん!*2 これってどこまで答えていいんでしょう。

柴田: んー、いいよ別に全然。

松山: 面白い話ねぇ……。

宮本: いや、別に面白い話じゃなくてもいいんですが。

松山: 面白い話しかおぼえてないんですよね。

宮本: じゃぁ、面白い話で。

松山: えー、講演に出られる時に「米子空港に何時の便ですから」ってチケットをわたしたんですよ。

宮本: 柴田さんが一人で行ったんですか?

松山: 一人で。「行ってらっしゃい」って見送りました。で、その後に電話かかってきて「乗れなかったのー」って。一応東京には着いておられるようだったんですけど、講演がせまってたから、その時はもうとりあえず着いたから万々歳と。で、帰ってこられてから「どういうことだったんですか?」って聞いたら、カウンターで「お客様、このチケットはお使いになれません」って言われたって。「え? 何で使えないの?」……航空会社が違ってたって。で、何で航空会社が違ってたかっていうと、飛行場が違ってた。

柴田さん含め 3人爆笑

松山: 「で、どこ行ったんですか」って聞いたら「出雲空港ー」って。

再び柴田さん含め 3人笑

松山: 「大丈夫よ、東京行けたから」。そうですね、仰るとおりです。確かに行けてよかったですね。

宮本: 講演って大体米子空港から行くわけじゃないんですか?

松山: その日のスケジュールとかにもよるので、色々です。「乗れなかったのよ」って言われて「なぜ」ってあの時は悩みました。「スケジュールの組み方悪かったのかなー」とか色々。……もう本当に脱力しました。

「死」とは

宮本: 松山さんにとって、「死」とは何ですか?

松山: 死、即、生。

宮本: 死ぬことは生きることである。終わりですか。

松山: はい。最近、あんまり考えなくなったというか、昔は何かごじょごじょこねくりまわしてましたけど、最近は全然。

「幸齢者」様とは

宮本: じゃぁ、一緒に過ごされている幸齢者様とはどんな方ですか。

松山: 先生。

宮本: いいですね、シンプルで。先程の「死」についてと同じで、結構心の中でそういう見方というのは固まってるんですか?

松山: 固まってるかどうかはわからないですけど。んー、やっぱり教わる事ばっかりで。

宮本: 人生の先輩ということで。

松山: えぇ、もうかないません。参りました。毎回参りました。仰る通り。そんな感じです。

理想の死に方

宮本: 松山さんの理想というか「こう死ねたらいいなぁ」みたいな死に方はありますか?

松山: それはやっぱり自然に身を任せられるのが一番いいかな、と。心から手を合わせてお迎えを受けるというか。それでいいかなって。誰に看取ってもらうとか何とか、今はあんまり考えないかな。そん時になったらまたコロッと変わったりしてね。コロッと変わるかもね。

将来・夢

松山さん(仕事中)

宮本: 最後の質問です。将来はどうなされるおつもりですか。

松山: ここにずーっといますよ。柴田さんに「あそこ行ってこい」って言われん限りはずっとここにいると思います。

柴田: ありがとーございます(松山さんに礼しながら)。

柴田: ありがとーございます(壁に貼ってあるマザーテレサの写真に礼しながら)。

宮本: どこに礼してたんですか?

柴田: まっちゃんとの御縁にマザーに感謝したところ。

松山: で、ずっと教えてもらってるんだと思いますよ。

宮本: そうしますと、夢とかは?

松山: 夢ねぇ。私にとっては、志ってことなんでしょうね。今はここの理念とそれが一体化してますから……うーん、一人一人が幸せな死を迎える、幸せになることなんでしょうね。私は死を追いかけてきた人だから、やっぱり幸せの死を迎えられる社会があればなって、そう思いますよ。

  1. 1 両者とも老人ホームに勤務経験のあるなごみの里スタッフ。

  2. 2 インタビュー時、柴田さんは 2m くらい離れた場所で手紙書きをしていました。

柴田久美子 講演予定

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書籍紹介

看取りの手びき 介護のこころ

『看取りの手びき 介護のこころ』書影


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