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特定非営利活動法人 なごみの里

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なごみの里ボランティアインタビュー(宮本博美さん)

プロフィール

宮本さん(インタビュー中)

東京都出身。 1981 年生まれ。

2005 年 9 月 1 日から、 PC 関連の管理兼事務関係の有償ボランティアとして勤務。

なごみの里以前は神奈川県の物流会社に勤務の傍ら、なごみの里の初期ウェブページ「てんしのはね」を作成。なごみの里に来てからもウェブ・メール関連の管理を引き続き継続している。あだ名は「ごうちゃん」(俳優の郷ひろみより)。

他のスタッフインタビューのインタビューア。

インターネット

松山: 今パソコンでインターネットのね、(ウェブページを)作ってもらってるじゃないですか。ああいうのはいつ頃からやってるんですか。

宮本: いつ頃から……というか、質問の順番が凄い松山さんオリジナルでびびってるんですけど(笑)。いつ頃からというと、どうなんでしょうね。本格的にやりはじめたのは大学生の頃なんですけど、家の親が元々機械好き……電気工だった時期があったんで、新しい物好きで……小さい頃から家には転がってたっていうのがあったんですかね。それで「そういうのをやったらこれからは役に立つよ」っていう話は聞かされてたんで、それで触るようになった……のかな。

松山: んー、私は詳しいことはわからないんですけど、かなり専門的なところまでやりますよね?

宮本: 専門的……*1

松山: それはどこで?

宮本: んー、全部独学なんですけど。好きこそものの何とやらでしょうか。

松山: じゃあのー、パソコンがなければ生きていけない?

宮本: いや全然。

松山: 全然ってどっちよ(笑)。

宮本: 全然生きていけると思いますよ。実際あんまり職業にはしたくないんですよね。まぁ、ここに来ているのはある意味そうなのかもしれないんですけど。前の職場でも「宮本君そういうの得意なんだから、そういう職業つけばいいのに」っていう話をされたんですけど、(そちらの業界の)話聞いてると結構地獄のような業界らしいんで、ちょっと……距離を置いておこうかな、と。そういうとこがありますね。

松山: なるほどね。はい。ということで、なごみの里のホームページを担当して好評なんですけれど、私も色んな人に聞くと「凄いページになったね」「前とは格段に違うね」って。

宮本: 前とは(笑)。

松山: うん、やっぱり前との(笑)。以前を知っている方はやっぱり比較をして「凄い充実したふうになってますね」とかですね。そういう評判を聞いて、嬉しいなと思ってます。電話されてくる方も、インターネット見て電話してますっていう若い方が凄い増えたなっていうのが実際ですね。

宮本: あぁ、それは増えましたね*2

松山: こう……1年に何件も「インターネット見たんですけど」とか、手紙の中にも「インターネット見ました」とか書いてあるのは「やっぱり時代なんだな」と思っています。そういう意味では陰ながらの存在の大きさを感じながらやらせて頂いていますね。はい。

島の暮らしやすさについて

松山: さて、次に共通質問というのがあるんですけれども。

宮本: 私が作ったんですから知ってます(笑)。

松山: うん(笑)。えー、今まで住んでいた場所は……川崎?

宮本: 神奈川の川崎です。

松山: 川崎と比べて知夫村はすごしやすい場所だと思いますか?

宮本: 実はインタビューを受けるのがこっちに来て 1 年も経った後なんで、以前ってどんなんだったんかなぁていうのがあるんですけど。すごしやすい……今、夏だから言うんじゃないんですけど、やっぱり涼しいですね。……うーん、特に何かこう買物したりだとか飲み屋さんいったりだとかというのを元々あまりしてなかったんで、さほど都会とは変わらない生活ですかね。海があるというのはやっぱり良いですけど。

松山: うーん……じゃぁ、最初に知夫村に来た時の印象は?

宮本: 印象……信号がない。

松山: 信号がない。

宮本: びっくりしましたよ、あれは。「あれ?」みたいな(笑)。

松山: そういうところに行ったことがなかった?

宮本: 信号がないというところはなかったです。……そういえば、船に乗ったっていうのも記憶してる限りではないんじゃないかな。うーん。(今まで)関東圏でウロウロしてただけですから。

松山: わかりました。うーん、色んな意味で「はじめて」っていうことが多かったんですね。

宮本: そうですね。やっぱり新鮮でしたよ。

なごみの里で働くようになった理由

松山: なごみの里に入ろうと思った動機についてく・わ・し・く教えて下さい。

宮本: 動機ですか。

松山: 息切れじゃないですよね(笑)。

宮本: 動悸息切れ……救心?(笑) ……息切れで思い出したんですけれども、私なごみの前は一応……多分大企業なのかな。物流会社の方に派遣されていたんです。それで辞める 3 ヶ月前くらいかな? 物流会社ですから大きな倉庫を持ってるんですけど、移転があったんですね。で、引越しとか新しい場所に移ってからのごたごただとかがあって……うん、ちょっと凄いことになってたんですよ、勤務時間が。そういったこともあって、 3 ヶ月くらい経って落ち着いてきて、新しい人も入ってきて慣れてきて……というところで、頑張ったからもういいんじゃないの、と。倉庫が引越ししたのと一緒に勤務地が遠くなって行き帰り(往復)に軽く 4 時間になってしまってましたし。それで、帰り(退社)が普通に 11 時、 12 時になってたんで……そういう話をしていた時に、柴田さんのほうから「じゃこっち来ない?」とかいう話が(笑)。今までずっと都会で働いてましたし、住んだところも物心ついてからずっと関東のほうしかなかったんで、一旦ここらへんで別の場所に行ってみるのもいいかな、と。

松山: 異文化体験?(笑)

宮本: 異文化体験っていうとアレですけれども(笑)。やっぱり色々と広がるものがあるんじゃないかな、っていう気持ちはありましたね。なごみの里のほうでも、あの時はパソコンが使える人があんまりいないんだよっていうような話でしたので……必要とされている力を持っているんだったら、手伝ってみるのもいいかな、と。そんな感じです。

なごみの里で得たもの

松山: なごみの里に入って得たものはありますか?

宮本: 得たもの。穏やかな時間、というのはどうでしょう。いつごろからかはわからないんですけど……相田さんとかも言ってたんですけど、東京とかにいると結構押せ押せのような時間になってしまって、日常のプライベートの方でもなんかやることが山積みしているとか、やりたいことが山積みしているとかいう感じになっていたんですけど、こっちに来てから……元々やることがですね、ここにいると結構少なくなるじゃないですか。だからそういう面ではやっぱり、得たもの、なんですかね。仕事の面でも残業もないし、落ち着いたとは思いますね。柴田さんともこの前話していたんですけども、どうも丸くなったらしい、と。私自身はあんまりわからないんですけど。

松山: うんうん。

宮本: やっぱり来た当初はこう棘みたいなのがあった。そういうところが取れたっていうのは、いいことなのかなとは思いますね。田舎ならでは…………何でそんなに笑ってるんですか?(笑)

松山: え? 「ごもっとも」って言う字幕スーパーがここらへん(と言って自分の頭の上を指す)見えなかったですか?(笑)

宮本: 字幕スーパーは見えません(笑)。

松山: うーん、そうか。自分では全然自覚がない? 「あんまり」っていうことは……。

宮本: 少しは。「肩の力が抜けた」くらいの自覚はありますけど、そんなに丸くなった……実は丸くなったではなくて、優しくなったと言われたんですよ。「は?」と。丸くなったっていうのは何となくわかるかなっていう感じなんですけど、優しくなったは……別に何も変わってないような気がするんだけど、っていう。自分じゃよくわかりません。

松山: うーん……でも、素晴らしいことじゃないかなとは思いますよ。人に優しくなれるというのは。偉そうなことは言えないかもしれないですけど。

「死」とは

松山: では、あなたにとって「死」とは何ですか。

宮本: これがね、困りましたね。ここらへんから私にとっては難しいですね。「死」とは何ですか……何でしょうね。

松山: 何でしょうと私に言われてもね(笑)。

宮本: なんでしょうね。うーん……「死」とは、私にとっては基本的に「終わり」なんですけれども。ここで終わり。以上、みたいな。だからなごみの里で唱えられているようなことはちょっとどうなのかな、と。

松山: その「ちょっと」というのはどこが? 具体的に。

宮本: え? いや「魂が〜」とかいう話をするじゃないですか。そういうのは私にはちょっとよくわからない世界です。

松山: ということは、例えば自分自身が死んだら、全てがなくなるというか……そういうイメージなんでしょうか。

宮本: 全てがなくなるの「全て」というのがよくわからないんですけどね(笑)。いわゆる「魂」というのはどうなの?っていうのはありますね。

松山: 「どうなの?」っていうのは、あるのかないのかっていうところですか?

宮本: そうですね。ないんじゃないかな、と。よくこう「お盆で戻ってくる」という話があるじゃないですか。ああいう話はどうなのかな?というのはありますね。

松山: ふーむ。

宮本: そこらへん……は、そうですね。 1 年経ってもあんまり変わらない部分ですかね。ただ……私はこの歳まで実際に「死」というものを……小さい頃に父方のお祖父さんの葬式に出たくらいで、それ以外はそういう死というものに直面したことはなかったんです。だから、その「どうなのかな?」というのも、強固に信じてるわけでもなくて。何しろ実体験がほとんどないので。

松山: 身近にね。

宮本: えぇ。それで私自身が直接接したわけじゃないんですけど、この前春さんが亡くなられたじゃないですか。

松山: はいはいはい。

宮本: で、実際にこう……居た(春さんは数週間なごみの里にいたことがありました)方が亡くなられた、というのには、感じ入ることがありました。言葉にはできないんですけれども。不思議な感じがしました。もしかしたら、柴田さんなんかは……ここにいる幸齢者さんに近い存在になっていくわけじゃないですか。そういうのを何回も何回もしている……のであれば、何か想うことはあるんだろうなぁとは思いましたね。全然春さんに接していない私がそういうふうに春さんに感じ入るくらいですからね。

松山: そういうことを体験した上で、例えばもっと身近な人、親だったり兄弟だったり恋人だったり、そういう人がこう死ぬことのイメージっていうのは何となくつきますか?

宮本: つきません。

松山: じゃ自分自身が死ぬことのイメージってつきます?

宮本: 全然つきません。

松山: ふむ、こう死に対する恐怖みたいなのはないですか?

宮本: 今は全然ないですね。

松山: 全然ない。

宮本: ないです。いや、まだ目の前に死がないじゃないですか。台風で瓦が吹き飛んできて(知夫村では台風の季節によくあります)頭割られる可能性はありますけど。でも、明日明後日という話ではないと今の自分は思っているので。なかなかイメージしにくいところはあります。

「幸齢者」様とは

松山: ふーむ……これと同列に質問事項としてあるのが「一緒に過ごされている幸齢者様とはどんな方達ですか」。

宮本: 一緒に過ごしてないような……(笑)。

松山: 直接的ではそうかもしれないけど(笑)。正さん(事務所の隣側の個室に入ってらっしゃる幸齢者様)なんかにはより近いじゃないですか。

宮本: うーん、どんな方……普通の方というか……。私は核家族だったんですよ。しかも私達は関東に住んでて、祖父母が両方とも関西だったので、おじいちゃんおばあちゃんという存在が遠い存在だったんですよね。私達が子供の頃は両親ともにあんまり親戚付き合いをしていなかったんで、幸齢者様という存在自体がここに来るまでは私から遠かったんですよ。だからイメージというのがあんまりわかなかったんですけど、ここにいて……さっきの話ですけど、正さんを見ていると……うん、普通の方だな、と。ずっとそういった環境で、幸齢者さんにふれていなくて、どこか恐怖心みたいなものがあったと思うんですけど……見ていると普通の漁師のおじいさんかな、と。

松山: 今までそんな環境になかったのかもしれないけれども、今このなごみの里の幸齢者様がいらっしゃる中にいるじゃないですか。それで例えば外に出ますよね。島の外に出た時に、幸齢者さんに対する見方とかが変わっただとか、そういうことはありますか?

宮本: ……うーん、外に行くと私の視界に幸齢者様が入ってこないんですけど。

松山: え? 外に行くと?

宮本: うん、幸齢者様っていうほど……幸齢者様っています?

松山: 比率多いですよ島根県。私は松江駅とか行くたびに「あ、やっぱ多いなぁ」と思いますね。若者の比率は、やっぱり少ないですね。

宮本: あ、ちょっと待って下さい。駅周辺の「幸齢者様」っていうのは 60 歳とか、そういう人も含んでですか?

松山: そうですね。

宮本: うーん、 60 歳代の人には特に何も感じないです。言ってしまえば佐野さんも 60 歳代じゃないですか。だから別にそういう方に関しては別に何にも……。やっぱり寝たきりの方?とか 80 歳越えているような幸齢者様に恐怖感というのがありました。ここに来て変わった部分はその方達に対する認識ですね。

将来・夢

松山: あとは、将来はどうなさるおつもりですか。また夢はありますか。

宮本: 将来ってどんな将来でしょうね。

松山: 近い将来と近未来くらいでしょうか。

宮本: 近い将来。実はなごみの里は 3 年という自分枠で入ったんで、 2 年後にまた振り返って身の振り方を決めるという感じで。ここにいるかもしれんし、大阪あたりもいいかもしれないですし京都あたりもいいかもしれないですし。でも関東に戻ろうかな、とか。ふらふらしてますね。さっさと定職に就いて下さいとかの話も聞きますけど(笑)。そんな感じです。困りましたねぇ。

松山: 困ったなっていわれたら私も困りますけど。けど、ちょうど 1 年ですよね。丸々 1 年になっちゃいました。ご感想は。

宮本: ご感想…… 1 年て早かったですね。あんまり何も変わってないような気もするんですけど……先ほど言ったように変わってはいるらしいです。

松山: 変わってるとは思いますね。……うーん、どうなされるおつもりですか、なんですが。

宮本: うーん、 2 年後になるまでわかりません。多分 3 年経ったら出るんじゃないかなぁとは思いますけどね。

松山: でも通りすがりにいい人が見つかれば結婚する……。

宮本: 何の話をしてるんですか(笑)。

松山: いやどうもそっちに持っていきたくなる私(笑)。んーと、それじゃ、夢。

宮本: 夢。夢ですか、難しいですね。夢かー。うーん、そうですねー。あまり具体的な話ではないんですけど、気持ち的にはいつでも良い何かを提供できる人間でありたいとは思ってますね。それは、技術でもいいし、仕事でもいいし、言葉でもいいし、心でもいいし、何でもいいんですけど。

松山: 提供。

宮本: はい。身近に困っている人がいて、あるいは何か身近に問題があって、そしてそれが私の力で解決できるのであれば、それは私が解決しなきゃいけないかなって思ってますし、今後もそう思える自分でありたいですね。

  1. 1 nagominosato.org ドメインの管理やメールアドレス等の管理のことらしいです。

  2. 2 電話番も兼任しています。

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看取りの手びき 介護のこころ

『看取りの手びき 介護のこころ』書影


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