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親愛なるあなたへ(7) 〜希望を病院に届けよう〜

島は太陽の光輝く中にも、やわらかな潮風が心地良い頃です。本土の暑さが、他の国のようです。この島にいると、幸齢者様も、そして今から生まれてくる赤ちゃん(そういえば、お盆で島に帰省してきた方が連れてきた赤ちゃんの声が最近よく聞こえてきます)も、全ての人々が愛しく感じられます。

生まれて初めて入院し、いきなり絶対安静を告げられたあなた。

「誰もいない。誰とも話さない一日。孤独に気が狂いそうで。ごめんね。忙しいのにね」

そう言って申し訳なさそうにしていたあなたは、普段のあなたとはまるで違った人に見えました。

「病院の人はみんな優しいけど……。心の芯から話せる、いや、ただ傍にいるだけで良い、そんな人に会いたかった。話す言葉に心をのせて、心を解き放てる人に傍にいてほしかった」

涙を拭くのも忘れたかのようでしたね。

「私は今やっと幸齢者様の心の奥に住む孤独が分かる様になった」と言っていたあなた。

皆忙しいから「どうせ、死ぬほどの病気じゃないし」と本気で取り合うこともなく、「元気そうね」と言った後、重ねて見舞う人もおらず……「ここに寝たきりでいて、ずっと考えていたのが寝たきりで暮らす幸齢者様の孤独だった。若い私ですら、出産という希望を手にしている私ですら、苦しいのだから……」。

3ヶ月も早く陣痛が起き入院、毎日点滴で出産を待つあなた。

愛は時間を注ぐこと。今こそ、心の会話の出来る誰か……家族、親友に支えてもらう時。勇気を出して「寂しいよ」と声を出すのが、今のあなたの役割ではありませんか?

病院が寂しいのは当たり前。私はそう思います。私達が働いているなごみの里は「家庭的な介護」と評されることがよくあります、ですが、それが誤りであることは私達が一番よく知っています。病院の医師や看護士と同様に、私達介護士もまた、利用者様にとってはどこまでいっても他人に過ぎないのです。私達が例え何日寄り添っていても、御家族様が1時間来られることに敵うことはないのです。

そしてだからこそ、あなたは、あなた自身の声で、勇気を出して「寂しいよ」と訴えて良いのです。人は身体だけで生きているわけではありません。そして病院は身体だけしか治療することはできません。私達は両親から身体と良心をまとう魂を頂いて生まれてきました。身体が病み、そして心まで弱くなる時、身体だけではなく心も癒したいと願うことは間違いではありません。

親愛なるあなたへ。

人は一人で生きているのではありません。今は甘えましょう。あなたの心を大切にし、寂しいときは「寂しい」と訴えましょう。そしてあなたがまた元気に動けるようになった時、周りをよく見てみてください。「寂しい」と訴えている人はいませんか? あなたはその時、その人の寂しさ、孤独がわかるはずです。今度は、あなたがその人に希望を手渡しに行きましょう。喜びを分かち合うように、孤独もまた分かち合って生きていきましょう。

あなたの素直な言葉が周りの人々の「気付き」になると信じています。

今日より明日はより良き日であることを、あなたとあなたの周りの人々にとって素晴らしい日になることを信じています。

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