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介護日記 (142) 〜心に良い種を蒔いて〜

雨上がりの早朝、大きな虹が 2 重に高い空に掛かる。幸齢者様と美しい虹を見ながら、話す。

「今日もきっと良い 1 日になるね。天からの贈り物だよ」

「美しい虹の贈り物をみんなの心に届けたいね」そう言いながら皆で、手を合わせる。

そんな穏やかな里を後に、船に乗る。

講演先に着くと 1 人の支援者様が私に話す。

「私は若き日に、障がいを持つ弟が死んでくれたらと思った事があります。そんな自分を今も許せなくて……」と私の手をとり、絶句する。

先日なごみの里でリハビリを勧められた高齢者様の御家族が、良くなって欲しいと願いながらも、その反面もうこれ以上良くなって欲しくないと涙ながらに訴えた話をする。

「若き日の僕の思いも許されるのですね」と微笑む。

人は誰でも、その心の中に鬼が住むと言う。過ぎ去った事に心とらわれる事なく、いつも今と言う時、心の畑にどんな種を植えるかなのだろう。

物事に善も悪も無いと幸齢者様が私に良く教える。行き詰まり途方に暮れる時こそ、今生きている事に心からひたすらに感謝することで、救われる。今日も 97 歳の里さんの手を握りながら、後何度一緒に新年が迎えられるかと思うと尚、愛しさがこみ上げる。死が里さんと私を引き離すその時まで、尊い限りある時間を、里さんに恋していこう。里さんの存在、そのものが私の心に喜びをもたらす。

産まれ出た事の意味を、その身を使って教える幸齢者様に感謝、合掌。

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