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介護日記 (146) 〜心の中心を育む〜

桜の花が満開に咲き、人々が花見に浮かれる歓声が聞こえる。その声の中でも、里の寝たきりの幸齢者様といつもと変わらない日常を過ごす。今日と言う日が迎えられた事に手を合わせながら。

ある日の夕方。毎日仕事が済むとオムツ交換と食事介助に里を訪れる茂さん (81) の息子さん。今日も裏の家族様口から姿を見せる。「いつもお世話になります」と軽く頭を下げ、足早に茂さんの元に。隣のベッドの幸齢者様に用が有り、お部屋に入る。茂さんの搾り出すような声がする。「すまんな。仕事で疲れてるのになー」「すまんなー」その声は私の胸を熱くする。しばらく無言のまま。また父は言う。「すまんなー」長い沈黙の後にポツリと息子さんの声がする「もう言うなよ」。

普段からとても無口で穏やかな息子さんと父の会話。抱きしめて育てあげ、その息子から、与えられた幸せを感じ涙する父。捧げられる幸せをかみしめる息子さん。父が生きているからこそ出来る孝行。今の私には、すでに父は亡く、ふと父が居ればなどと思いを寄せながら胸があつくなる。

隣のベッドの老夫婦。奥様も私と同じように、その会話を聞きながら、大きな感動と学びを頂いたと話す。

いつの時代も変わらない親孝行。誰の心の中にも住む良心と言う心の中心。この心の中心こそが親孝行とともに育まれることを教えた幸齢者様に感謝、合掌。

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