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介護日記 (152) 〜生きる力を分かち合う〜

島は穏やかで海は湖のように凪いでいる。

そんな穏やかな早朝だった。福岡に住む義母が逝ったと夫からの電話が入る。

すい臓ガンが見つかり、この 3 月に手術。 4 つの臓器を切り取る大手術を受けた後、入退院を繰り返しながらも前向きにいつも明るく生きてきた。

面会に行くと決まって「久美子さん。私は死ぬのが怖くない。葬儀の事や細かい事を決めたいのに、みんな本気にしないではぐらかす。あなたならわかってくれるよね」と手を握る、潔く立派な義母だった。

私がなごみの里を立ち上げてすぐに、病を頂く夫は離島にはない医療の整う実家で暮らし、そのことが夫にとっては何よりの親孝行となった。そばにいることの安堵感、時間を注ぐことの尊さ。 1 日 1 便のフェリーに飛び乗り、すぐに駆けつけると、何とも美しい義母がそこに居た。その笑顔はまるで起き上がり「久美子さん、ありがとう」といつものように手をとってくれるかのようで、思わず私は「お義母さん、ありがとう」と顔をなでながら、その言葉だけを繰り返し義母に捧げていた。姪達とおしゃれだった義母にイヤリングをつける。スカーフを首にまく。

義母は生前 3 通の手紙を残していた。それは義母の死後のお別れ会の執り行いなどについてのものだった。

お通夜もお葬式も義母が決めていた式次第にそって行われる。会場に義母が言い置いていた「千の風になって」が流れると、葬壇の向こうに義母の大きな笑顔が見えた。次々に会場にみえる人々のその多さに、義母の存在の大きさをあらためて知る。

人は生まれた時に身体、良い心、魂をもらう。この身を手放し、義母は今、子や孫に、そして縁ある人々に義母の良い心と魂を分かちあう。

その身を投げ出し、私達に大きな生きる力をくれた義母に感謝 合掌

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