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介護日記 (155) 〜希望こそが命を支える〜

「柴田さん。母が呼んでいます。すぐに来て欲しいと」

福岡のホスピスにいる友の息子からだった。

友、京子さん (51) は短大を卒業後、保育士として働き結婚、出産、離婚。 3 人の幼い子供達を連れて港湾で男衆と土木作業をした事もあると良く話していた。

私と出会ったのは福岡の有料老人ホームに働く頃だった。父が絵描きの彼女は幸齢者様の話を絵本にして記念にと贈る優しさにあふれていた。

私が福岡を離れてからはほとんど連絡のないままだった。そんな彼女が突然、昨年春に電話をくれた。

「しばちゃん。私癌。もう治らないそうな。医師からホスピスをすすめられている。でも入りたくない。どうしよう」

「入りたくないなら、入らないで良いよ。子供達に甘えたら」

「良いよね。良かった」

そう言いながら、一番下の娘の小さなワンルームに同居した。東京に嫁いでいた次女も赤ちゃんを連れて帰り、小さなお部屋は家族の笑い声がたえなかった。当時、私が訪問すると家族全員が座る所もないほどに華やいでいた。

私達は言葉の力を信じ、皆で祈りの言葉を唱えた。朝昼夕寝る前 15 分、それぞれが彼女の健康を祈る。そのお陰か、彼女はその時まで持たないと宣告されていた夏を乗り越えた。

そして秋。深夜、呼吸不全におちいり救急車で入院。その日から毎日メールのやり取りが続く。

彼女は、この命が健康になった時、私は子育て支援の為にこの身を使うと決め、言葉の薬を信じて唱え続けた。全快した時の為に、何を勉強すればよいのと問う。難解な本を選んで5冊、病院に送る。すでに食事はとれないが、彼女は希望だけを見つめ、熱をおして本を読む。そんな彼女の姿は子供達の目に聖女のように映った。

“希望”。この言葉が人間にとって、どんなに大切か教えてくれた彼女に感謝 合掌

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