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介護日記 (209) 〜感謝の花を心に〜

あじさいの花が雨にうたれ、殊更美しい。

正子さん(97歳)を一人で介護なさる良子さんから電話が入る。

「買い物に行きたいので、ボランティアさんをお願いします」。

話す事、食べる事のできない母を懸命に支え続ける彼女のやさしさと強さ。そして孤独と悲しみ。その片鱗でも理解したいと願って、彼女の元に出向く。

私が到着すると、彼女は堰をきったように介護の悩みを話される。彼女の真の辛さは分かりえないと知りながら、少しでもと心を開いて、お話を聞かせて頂く。

母の命の重みに、彼女の心は日によって海の波のように揺れる。私自身の心もケーキのようにもろいから、その荒れた波を受け取るほどには力がない。それでも身体を正子さんの傍らに寄せることで彼女の力になれると信じ、看取りボランティア、エンゼル活動を続ける。

「眠れますか?」と聞くと「母の傍に居ると知らぬ間に朝が来ています。大丈夫」と微笑んだ。「母は懸命に生きて、私を大事に育ててくれました。今、私は物言えぬ母の幸せだけを見つめています。ひとつひとつの介護に『お母さん、ありがとう』と感謝をこめるんです」とお会いする度に凛と言う良子さんを誇りに思う。

彼女が出かけると、正子さんの手をそっと握り、身体をさする。安心なさったようで、正子さんの眉間の皺が消える。目を開けられることはないが、この穏やかな時間が私には宝物。ふと目にしたカレンダーにこんな言葉があった。

「この泥が あればこそ咲く 蓮の花」

正子さんの命を引き受ける彼女に花が咲く日を祈り、こんな立派な人たちに出会えた事に感謝した。

命の重みを在宅介護という形で貫く幸齢者様と良子さんに感謝 合掌

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