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介護日記 (214) 〜慈愛の中で〜

雪をかぶった大山が美しく、凛と冷たい風が私を励ましてくれる。

講演の後、一人の女性が静かに手をあげる。

「柴田さん、父が最後までオムツを嫌がり、ポータブルトイレで用を足していました。抱きかかえながら、その重さに辛い時もありました。その意味が今、はっきり分かりました。父は私を抱きしめたかったのですね。父の温もりを渡したかったのですね。今も父の温もりがこの腕に残っています」

彼女の頬には涙が光っていた。

12年前になごみの里を立ち上げた時、私は設立趣意書にこう書いた。

なごみの里は、幸齢者の終末期の看取りを通して、魂を磨こうとするものです。

人間の終末期において、幸齢者の方と私達に言葉すら要りません。ただお互いに感謝を思うことのみがなすべきこととなります。幸齢者の方々の魂は天と地(肉体)を行き来し、私達の魂すら導いて下さいます。

人間の終末期ほど、尊い時はありません。その時に添わせていただく事こそ、私達の魂を清め高めます。マザーテレサのお言葉のように、一人一人の魂と接する機会が与えられているその時なのです。

終末期にある幸齢者の方こそが師であり、そばにいる私達は学びの者です。美しい死の中にこそ真の生があります。なごみの里は、体験を通して真の生き方を学ぶ場です。

この国の誰もが、最期まで尊厳ある人間として旅立てる社会になる事を祈りながら、抱きしめて看取り、死の文化を伝えようと心新たに思う。看取りの場面で見せて下さる深い慈愛。まだまだ未熟だが、少しだけでも、その愛を受けとれる人間に育てて下さった幸齢者様に感謝

活動についてのお知らせ

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書籍紹介

いのちの革命

『いのちの革命』書影

看取り士日記

『看取り士日記』書影

看取り士

『看取り士』書影

「ありがとう」の贈り物

『「ありがとう」の贈り物』書影