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介護日記(220) 〜やさしく やさしく やさしく〜

花しょうぶの咲く、米子を後に、看取り士として新潟に向かう。

「母を在宅で最期までと願い自宅に連れて帰ったのですが、不安で……。看取る勇気を下さい」と連絡が入る。

新幹線の中で車窓を見ながら、ふとノーベル文学賞を受けたルビンドラナート・タゴールの詩を想う。

『とらえがたきもの』 第2部21節

父が葬式から帰ってきた。7歳になる息子は窓辺に立っていた。眼を大きく見開き、金色のお守りを首から下げ、その歳には難しすぎる思いで頭がいっぱいだった。

父は息子を抱きあげた。息子は尋ねた。「お母さんはどこ?」

父は空を指さして答えた。「天国だよ」

少年は空を見上げ、長いことじっと見つめていた。彼は途方に暮れ、遠い夜の中へと問いを投げかけた。「天国はどこ?」

答えはなかった。星たちが、無知の闇が流す熱い涙のように見えた。

最愛の母との別れ。私が傍らにいたらどうしただろう。きっと死が訪れるまでに、お母さんとの温かい触れ合い、魂の交流を、しっかり時間をかけてしてもらうように働きかけただろう。そして別れ、葬儀への参列――その全ての場面で関わりを共にするように努めた後で、私なら、この少年にこう言う。

「君の心の中にお母さんは住んでいるよ。どうしてよいか迷った時、仏壇に手を合わせてごらん。お母さんはきっと答えてくれる。ずっと君と一緒だよ」良い心と魂は、愛する人に渡されて永遠に生き続けるのだから。

死の壁の前に立ち、不安と怖れの中にいるご本人、ご家族を支える役割をさせて頂いていることの尊さを想う。

やさしく、やさしく、やさしく、モナリザのように微笑んで、傍らに居なさいと私を導き、腕の中で旅立った方々に 感謝 合掌

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