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看取り士日記(237)〜モナリザのような微笑み〜

紅葉が美しく、凛と空気の澄んだ新潟の旅を終えて帰ってみると、前回看取り士養成講座で学んでくださった研修生さんからのレポートが待っていた。彼女はホスピスの看護師として働く女性。彼女の文章の中に、下記のような感動的な文章があった。

終末期のAさん(48歳女性)の担当になった。話し合いの結果、モルヒネの持続投与となり、主治医と私でAさんの元に行き、主治医がAさんに「モルヒネを始めます」とだけ告げ、部屋を出ていかれた。Aさんの前で足がすくんだ。モルヒネの説明や間欠的に眠る方法などを細かく説明し、それでも持続して深く眠りたい時はもう一度話をしてほしいと、最後までAさんが選択できるように話をした。最後までAさんに生きる希望を持って欲しかったことと、最後まで意思を尊重したい思いがあった。

Aさん自身若く、母親の悲嘆も強かったので、どうしたらいいか毎回戸惑っていた。それでも、やさしく、やさしく、やさしく春風のように、モナリザの微笑で、を繰り返し唱えながら、Aさんの部屋に向かった。いろんな場面があったが、Aさんと話ができる最後の場面で、Aさんは心楽しそうに素敵な笑顔を見せてくれた。やさしく、やさしく、やさしく、春風のように、Aさんのためにと思って唱えていた言葉は、実は私の背中を押し、私の心を支えていてくれた。 一人一人と素直に向き合い、謙虚で正直に関わりを深め、旅立つ人が幸せな最期を迎えられるよう努力していきたい。

人間の最期は魂がむき出しになる時。美しい音楽を聴いたときに涙が流れるように、真の微笑みがAさんの心に届く。看取りの現場に必要なものは、明るさ、静けさ、温かさ、微笑みと教えられる。

こうした現場での看取り士の方々の温かい心が、旅立つ人々の心に重なり、お一人おひとりの命の輝きが最後までそこにあることに感謝 合掌

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