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看取り士日記 (269) 〜慈愛の看取り学〜

蓮の花が美しい。蓮の花言葉は、清らかな心。

蓮の花をゆっくりと見つめながら看取り学上級の会場に向かう。

看取りの作法―実技編と称して、旅立ちの時の作法をお伝えしている。

先ずは靴を脱いで、受講生さまの太ももの上に頭を乗せ、ヨガマットに仰向けに寝る。看取る方が呼吸を合わせる一方で、他の参加者が手足を手でさすりながら「ありがとう」「お疲れ様」などと声をかける。

「今は亡き母親と過ごした赤ん坊から3歳ごろまでの手の温もりが身近だった時代に、タイムスリップしたような無防備で心地よい時間だった。蚕が吐き出す絹糸で出来た繭にでも包まれたような感覚で、これだったら死ぬこともさほど暗くも、怖くもないと体感できた」と受講生の男性の感想にあった。また、「お母さんの子宮に戻ったみたい」と少し上気した顔をほころばせる60代の女性もいた。

あたたかい看取り学の講座を終えた私に、現場からの電話。看取り学上級を受けたばかりの施設勤務の看取り士さんからだった。

「もう旅立たれて1時間が経っています。どうすれば良いのでしょう」と不安そうな声。「看取り学で学んだ様に背中に手を入れて、その温もりをご家族に渡してください」とお伝えする。

そして、ご家族を待つこと1時間。背中の温もりをご家族に渡し「間に合って良かったですね」とお伝えし、膝枕をして頂く。若いお孫さんの歓喜したお顔が印象的だったとのこと。

「澄んだ空間での命、魂のバトンを目の当たりに感じました。看取り学上級講座の時とは違い、ことさらに穏やかな温かく幸せな思いでした」と後に報告を受けた。

もったいないほどに、ありがたいことに、命懸けで尊い学びを下さる幸齢者様に感謝 合掌

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